チームでの会議や話合いにおいて、
意見がなかなかまとまらない、意見が対立するという場合に、
そこに参加しているメンバーの意見をまとめ、
皆が納得する結論を出すには「発散と収束」が効果的です。
1.拡大質問で発散する
会議の最初やメンバーからの情報収集の時点では、
可能な限りに「拡大質問」を行います。
「プロジェクトの目的をどのように理解していますか?」
「目標達成において、何が障害になっていると思いますか?」
拡大質問を行うことで異論、反論、疑問点、消化不良点など、
メンバーの頭の中にあるものも吐き出してもらいます。
ここはあくまでも発散の時間で、議論はしません。
また、司会者(ファシリテーター)は自分の意見を言わず、
発散してもらうことだけに意識を向けます。
従って、限定質問をなるべく行わないようにします。
なぜなら限定質問は、質問する側の思考に基づくものであり、
司会者が意見を言わずとも限定質問をしてしまう事で、
結果的に頭の中をさらけ出しているのと同じになってしまうからです。
また、限定質問で進めてしまうと、
質問される側は「誘導された感」をかなりの確率で持ちます。
そうすると「発散」の意味が全くなくなってしまい、
最後まで消化不良感や不納得感が付き纏うことになりかねません。
会議の最初では拡大質問で十分に発散する。
司会者は自分の意見を言わず、
この時間に議論を行わない。
これがしっかりと行われるか否かは、
最後の腹落ち感、納得感、自分達で決めた感に大きく影響するので
所要時間の半分をこれに割くくらいにしっかりと行いましょう。
2.限定質問で絞り込んでいく ~収束へ
しっかりと発散されたものを絞り込み、掘り下げていきます。
「AとBではどちらが私たちの目的に合っていますか? その理由は?」
「AとBではどちらが効果的ですか? その理由は?」
こうして発散されたものをA or B の限定質問で絞り込んでいき、
「収束」に導きます。
単純にA or BでYes/Noを聞くだけでなく、
その理由をしっかりと確認し合います。
なぜなら、理由を聞くことにより、より納得感が増す、
あるいは、自分の考えを変更しやすくなるからです。
仮に導かれた結論が当初の自分の考えとは違う結果となったとしても、
しっかりと発散できており、
絞り込んでいく段階でも話し合いに参加していれば、
結論へと向かう途中で意見が変わったことは、
「自分で意見を変えた」→「自分が導き出した結論」として納得できます。
3.まとめの質門 ~合意を確認する
限定質問で絞り込みができていても、そこで結論を宣言するのではなく、
必ずまとめの質問を行い、チームの合意を確認しましょう。
「大きな懸念点がないならば、Aで進めるということで良いですか?」
「経営層の確認が取れれば、Bのトライアルを実施するということで良いですか?」
結論を急ぐあまり、「Aで決めます」と宣言してしまうと、
それまでの発散と収束が水の泡。
「司会者が決めた」となり、参加者の納得を得ることができません。
最後まで丁寧に質問で話を進めていく事で、
メンバーは「議論に参加して自分(たち)で決めた」と思うことができます。
会議で意見がまとまらないのは、「一生懸命」の裏返しです。
(意見が全く出てこずに「どうぞお任せ」の会議ほど寂しいものはありません。)
ワガママ、部分最適と捉えてうんざりとするのではなく、
「自分達で決めた!」と皆が思える環境を整えましょう。
そのために効果的なのが「発散と収束」です。
進め方に慣れてくれば、どんなに難しい内容でも
1時間ほどで合意に至る事ができるようになります。
是非、挑戦してみてください。