マネジメント・リーダーシップ

マネージャ―が身につけたい、コーチングともう一つのスキル

どんなにスペシャリストであったり、職位が上の人でも
人間である限り、「前へ進めない」時があります。
頑張りたいと思うのだけど、過去のネガティブな思いが無意識に足を引っ張り、
進もうとする気持ちを阻止してしまいます。
また、先行き不透明な正解が見えない時代においては、
前へ進もうにも、どこを目指して進めば良いのかが分からず、
立ち止まってしまう事もあるでしょう。
組織のトップであればなおの事、方向性を決める時の不安や戸惑いは大きいに違いありません。

そんな時、
「未来のゴールを見据えて行動に意識をフォーカスしましょう!」
「正解はわからない。考えながら走りましょう!」
とコーチングを進めても、
心につっかりがあるとしたら、それらが取り除かれない限り、
思うように足を前へ運ぶことはできません。
精神論だけで人は動けないのです。

コーチングのベクトルが未来とポジティブに向いているのに対し、
カウンセリングのベクトルは過去とネガティブに向いています。
コーチングが目標・ゴールを目指して進むのに対し、
カウンセリングはモヤモヤを晴らす問題解決に向かいます。

過去が、今と未来の間に立ちはだかって、その前進を阻むのであれば、
その過去に蓋をするのではなく、
しっかりと見つめて消化する、脇にどかすなどの対応が必要です。
見えない未来に不安を感じるのであれば、尚更の事、
その不安への対処が必要です。
それをしっかりと出来るのは、コーチングではなくカウンセリングです。
(実際には、プロコーチはカウンセリング的関りで、
クライアントのネガティブビリーフを取り除くサポートをしています。)

昨日のセッションでは、
クライアントさんを悩ませる「霧」に60分間、しっかりと向き合いました。
堂々巡りしているようでも、60分間、ひたすら気持ちを吐露し続ける中で、
とても深かったクライアントさんの霧が少しずつ晴れていくのが見えました。
最後の5分で気づきが生まれ、この学びは数カ月後の目標のココに活かす!
と自然に笑顔が溢れ出ました。
霧さえ晴れれば、人は前へ進むことが可能です。
60分間をひたすらコーチングに使うのではなく、その大部分を、
霧を晴らす目的のカウンセリングに使ったのは間違いではありませんでした。

私たちは現在を中心として過去と未来の間で生きており、
その中で常に、ポジティブとネガティブの間を揺れ動いています。

新たな取組みに対する部下の不安や心配に対して、
「やってるうちにそんなの消えるよ!」
ではなく、不安要素に耳を傾け、取り除くサポートをする。
過去の失敗からの恐れに対して、
「リベンジだ!」と単純に檄を飛ばすのではなく、
どんな思いが恐れをもたらし足を引っ張っているのかを明らかにし、
「前へ進もう!」と部下自らが一歩を踏み出すサポートをしてあげる。

過去や未来へのネガティブな思いがその行く手を阻むのであれば、
そのネガティブにしっかりと対処してから進むのが最善です。

今や、ビジネス現場においてコーチングはしっかりとそのポジションを確立し、
1on1などの手法でもコーチング的関りが推奨されています。
一方、カウンセリングはメンタル不調な人が受けるもので、ビジネス最前線では不釣り合い
と思っている人が多いかもしれません。
しかし、それは全くの誤解です。
人材育成や組織開発において、コーチングは優れた手法の一つですが、
カウンセリングもまた同様に(もしくはそれ以上に)大切なテクニックです。


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