不思議なもので、人は立場によって「どこを見るか」が違うものです。
新入社員は今、この瞬間、自分の事に一生懸命でしょう。
中堅社員ともなると、2-3年後の自分を見据えたり、
管理職になった自分を思い描いて今を努力しているかもしれません。
経営者になると少なくとも10年後、30年後、
場合によっては100年後の未来を見て物事を考えますし、
社員、会社、地域、日本と考える範囲も大きく広がります。
私たちはその時々の立場でモノを見て、考え、発言をします。
新人は新人の立場で。
マネージャーはマネージャーの立場で。
経営者は経営者の立場で。
それは決して悪いことでも間違いでもありません。
大切なことは、自分の立場だけで物事を発信するのではなく、
他者の理解を得たいと思うのであれば、
相手にわかるように説明しなければいけないということです。
まだ私が若い頃、
「課長が結論を下すに至ったは背景を教えていただけますか?」
と上司に質問をすると、
「これはもう決まったことだから、やってくれればいいんだよ。」
優しく返事が返ってきたことがありました。
口調はとても優しく穏やかだったけど、
「君たち組織の歯車は、そんなこと気にしないで良い」
と言われた気がしました。
決定の経緯が分からず、内容そのものにも納得していなかったので、
適当にしか取組まず、ほとんど成果が出なかったことを覚えています。
上司はこんな風に思う事があるかもしれません。
そんなことも分からないのか。
黙ってやってくれればいいのに。
かたやメンバーは、こんな風に感じているかもしれません。
方向性全く見えなくて意味不明。
説明なくて「やれ」で人が動くと思っているの?
他人の理解を得ようと思う時、最初に知るべきは、
相手が「どこを見ているか」「どのように見ているか」です。
それは必ずしもあなたと同じとは限りません。
自分が見ている景色からだけでモノを言うのではなく、
相手の景色から発信することで、
相手の理解を得やすくなることを忘れずにいたいものです。