「外国籍のメンバーは価値観が全く違うから難しい」
「今の若いスタッフの価値観は全く理解できない」
こんな話をよく耳にします。
外国籍だろうと若いスタッフであろうと、
「自分以外」の人と価値観がドンピシャに合うということはそうそうありません。
当たり前のことですが、人はみな違い、それぞれです。
ところが人間は自分の価値観で物事を考える生き物であり、
自分と異なる価値観の相手を見つけては「あの人はおかしい」と言ってしまいがちです。
価値観を言い換えると、「大切にしているモノ・コト・考え方」でも良いでしょう。
「あなたが好きなモノ・コト・考え方は何ですか?
嫌いなモノ・コト・考え方は何ですか?」
と質問すると、実に様々な答えが出ています。
「一生懸命」「きちんとする」「元気」などが好きな人もいれば、
「ゆったり」「ほどほど」「静か」が好きな人もいます。
「チームスポーツ」「一体感」などと書く人もいれば、
「読書」「瞑想」「一人でのんびり」という人もいるのです。
「褒められて嬉しい言葉、やる気になる言葉」を質問しても同様です。
「さすが!」「任せたよ」「自由にやっていいから」が好きな人。
「丁寧だね」「優しいね」「安心して頼めるよ」などが良いという人もいます。
「君なら大丈夫だね」が良い人。プレッシャーになるからそれはイヤな人。
「チームのために!」で俄然エンジンがかかる人。それでは全く響かない人。
それぞれの「大切」「好き」「嬉しい」を改めて確認してみると、
真逆の場合もあります。
良い悪いではなく、それが個性。「その人」なのです。
ところが!
人は自分の価値観でモノを見て、考え、判断し、
相手も「そうだ!」と無意識に思っている場合が往々にしてあります。
マネージャーがメンバーに対して。
教師が生徒に対して。
親が子供に対して。
大切な事だから。
こんな風に言えば響くはず。
それは違うから。
このキーワードでやる気スイッチを押そう。
しかしそれらが相手にとっての「大切」「好き」「嬉しい」でなければ、
響くどころか迷惑な押し付けにすぎません。
「こんなに言っているのに」「あなたのことを思って」「どうしてわからないの?」
そう叫ぶとますます相手は遠ざかっていくのに、
そこに気づかず自分の価値観をどんどんと押しつけてしまうのです。
自分と他人との価値観は違うのです。
至って当たり前のことなのに、
それを忘れてしまってイライラしたり、腹を立てたり、悲しんだりしている私たち。
相手の大切・好き・嬉しいをまずは知り、受け止めましょう。
共感しろとは言いません。
受け止めるだけ。
「そうなんだ~」「それが好きなんだね」「それはイヤなんだ」と
しっかりと受け止めるだけで良いのです。
自分の大切や好きを全く否定することなく受け止めてくれる、
さらには話を聞いてくれる他人に対して、人は好意を抱くものです。
大好きなサッカーチームやスター選手をけなされたら、物凄く腹が立つけど、
「あいつ、いいよね!」などと受け止めてもらえたら、
その人との距離感が一気に近くなるのと同じです。
そうして大切にしている価値観と目指すべきゴールを上手く関連付けながら
成長へと導いてあげることができたなら、
やらされ感は全くなく、勝手にどんどんと人は成長の階段を昇っていくのでしょう。
自分と他人とは違うのです。
当たり前のことをついつい忘れがち。心しておきたいですね。