メンバー育成において最も重要なことの一つは、一人ひとりのポテンシャル(潜在能力)を正しく見極めることです。ここを誤ると、期待値のギャップが生じ、本人の成長やモチベーションに大きな影響を与えます。
期待値が大きすぎる場合は、与えられた仕事量や難易度についていくことが難しく、何とか乗り越えようとするも空回りしてしまい、自信喪失を招く原因となりかねません。
期待値が小さすぎると、力を持て余す、手持ち無沙汰になるなどから、やる気の喪失につながります。
ポテンシャルは、「今の結果」で測ることはできません。
今出ている結果は顕在能力によるものです。
ポテンシャルは潜在能力であり、今はまだ目に見ることができない、気づかれていない秘めた力だからです。
ポテンシャルの見極めは容易ではありませんが、いくつかのポイントがあります。
1.考える力(思考が浅くない)
- 観察例
・課題や問題に直面した際、表面的な対応だけでなく「なぜそうなったのか」「他にどんな選択肢があるか」など、背景や本質に踏み込んだ発言や質問があるか。
・業務改善や提案の場面で、現状の枠を超えた視点や、複数の視点から物事を捉えているか。 - 質問例
「この課題の根本原因は何だと思いますか?」
「他にどんな方法が考えられますか?」
「もし自分が経営者だったら、どう判断しますか?」 
2.自分の意見を持っている(Yesマンでない)
- 観察例
・会議やディスカッションで、上司や周囲の意見にただ同調するのではなく、自分なりの考えや意見を述べているか。
・異なる意見や疑問を率直に伝え、建設的な議論を生み出しているか。 - 質問例
「あなた自身はどう考えますか?」
「この方針について、懸念や別のアイデアはありますか?」
「もし違う意見があれば、ぜひ教えてください。」 
3.素直さ
- 観察例
・フィードバックやアドバイスを受けた際、まず受け止めて自分なりに考え、行動に反映しようとする姿勢があるか。
・失敗や課題に直面したとき、言い訳や責任転嫁をせず、自分の成長の糧にしようとしているか。 
- 質問例
「最近受けたアドバイスで、実際に取り入れてみたことはありますか?」
「失敗から学んだことを教えてください。」
「自分の課題や改善点について、どう考えていますか?」 
新人のうちは、先輩の「マネ」が上手であれば、一定の結果は出るかもしれません。
しかし、自分なりの考えや意見がなければ、そこから先は伸びどまります。
深く考える力がなければ、今をどう乗り越えるのか、過去から何を学びどのように将来に生かすかの応用ができません。
他人のアドバイスや建設的批判に耳を傾ける素直さがなければ、自分よがりに陥るばかりで成長は望めません。
メンバーの「力」を読み解くとき、目先の顕在能力だけで判断するのではなく、思考の深さや自分なりの考えの有無、素直さなどを考慮してポテンシャル(潜在能力)をもしっかりと確認することが大切です。
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