マネジメント・リーダーシップ

メンバーが取り組まない理由

最近パフォーマンスが上がらない年上のベテランメンバーMさんに、どう向き合っていいのかわからず、マネージャーのKさんはとても悩んでいます。
Mさんにやる気がないわけではないようですが、Kさんの指示に対して「返事はするけど取り組まない」というのです。何度も伝えるKさん。そして何度目かにはこう言ってしまうのだそうです。
「何度も同じことばかり言ってすみません。Mさんだって、何度も同じことを言われて嫌ですよね。僕も言うの嫌なんです。けど、やってくれないと困るんです。お願いします。」
Kさんは普段からとても穏やかで、他部署の若手メンバーが相談にやってくるような方です。しかし、Mさんとの心的距離は遠ざかるばかりとKさんは感じています。


あなたがMさんだった時、自分が取り組まない負い目はさておき、Kさんの何が嫌だと感じますか?
自分の方が年上だから?何度も言われてうっとうしい?命令口調が癪に障る。
色々理由はあるでしょう。感じ方は人それぞれですから、Kさんの何にMさんのネガティブセンサーが反応したかは不明です。
ただ確実に言えることは、「あなたがやらないと、私が困る」という表現は絶対にNGだということです。

部下は上司のために仕事をしているのではありません。お客様のため、会社のため、自分の成長のため、捉え方は色々でしょうが、少なくとも上司のために必死で毎日頑張っているわけではないのです。(様々な理由で、「上司のために」と熱い想いを持っているメンバーもいるでしょうが)
にもかかわらず、「私が困る」と言われてしまったら、「私はあなたのために仕事しているんじゃないですから。どうぞ勝手に困ってください。」と思われても仕方ありません。心的距離が近くない上司部下であればなおさらのことです。

これをやらないと上司の自分が困る=上司としての評価が下がる。更に上司から自分が叱責を受ける。お客様の矢面に立つのは自分なのに、迷惑かけるな。
などの意図が透けて見える話を、部下に対して絶対にしてはいけないのです。

これをやらないと××××(ネガティブな事柄)と、ネガティブモードで話をするのではなく、これをやることによって〇〇〇〇(ポジティブな事柄)に目が向くように話を向けましょう。
自分の成長、お客さまや仲間への貢献、周囲からの評価の高まり、自己肯定感アップにつながるなど、相手にとってポジティブ(ハッピー)なことに意識が向く話をするのです。
間違っても、「あなたのせいで自分が困る」などと言ってはいけないのです。

上司の不用意な何気ない限度が、思いのほか部下のやる気を損ねていることが、実は山のようにあります。
「どうしてやらないんだ」「何度言ったらわかるんだ」と怒りのボルテージを上げるのではなく、「自分が阻害要因になっていないだろうか」「どうしたら止まったエンジンを動かしてあげられるだろうか」と上司であるあなた自身の考え方と言動を振返ってみてください。あなたが変わることで、部下に良い影響を与えることができることを信じて、部下への言葉を常に選んで話しかけてください。

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