マネジメント・リーダーシップ

運動嫌いの彼女が30kmも走れたわけ

茶道のお仲間で運動が大の苦手なOさん。腰痛があり、ストレッチと腰回りの筋肉を少し鍛えるためにあるトレーニングセンターを訪れたところ、担当トレーナーに軽いランニングを勧められました。
「走るなんてとんでもない!私の辞書にランニングとかマラソンとかありません!」
そう言ってキッパリと断ったOさんですが、トレーナーの「こんな感じでいいんだけどな~」と目の前で見せられたお手本に、「それくらいならできるかも」と思い、軽いランニングを始めました。
これもそれも腰痛克服のため。日々、走っているうちに、スピードは出ないまでも10kmくらいは走れるようになってきました。

そんなある日、地元のランニング大会があり、何を間違ったか、「30kmの部」にトレーナーと一緒に走ることになってしまいました。
絶対に無理! どうやっても無理!
泣きそうになっているOさんに対して、トレーナーさんは全くの平気顔。「大丈夫、大丈夫。走れるよ。」
「だって、私、10km以上、走ったことないんですよ!」
「大丈夫、大丈夫。」

途中、休憩を取りながらもトレーナーさんと一緒にOさんは走り続け、ナント!見事30kmを走り切ったのです。
トレーナーさん以外は周囲はもちろん、当の本人のOさんが一番びっくり! 
「走れたから良かったけど、無謀な挑戦でした。」そう振り返る彼女に、トレーナーさんはこう言いました。
「僕はそう思わないよ。全然、無謀じゃない。走り切れるって信じてた。」
「どうして運動経験もないし、10kmまでしか走ったことないのに、そんな風に思うんですか?」
「理由はうまく説明できないけど、Oさんの可能性を感じたから。だから、それを信じただけ。大丈夫だったでしょ!」

ニッコリ笑って「可能性を感じ、それを信じた」と言ったトレーナーさんに、Oさんはこの上ない感謝の気持ちを覚えたそうです。
「絶対に走り切れるとわかっているわけじゃない私の可能性を見つけ、信じて、最後まで応援してくれた。いつも大丈夫、大丈夫と言って。だから、私の中の力が引き出されたんだ。きっと。信じてもらえるって、可能性を見出してもらえるって、こんなに素晴らしい事なんだ。私は普段、子供相手に仕事をしている。私も子供たち一人一人の未知なる可能性を見出して、それを信じて応援してあげよう。トレーナーさんが私にしてくれたように。」

自分では気づいていない可能性を見出してもらえたOさん。
その可能性が花開くことを信じてもらえたことで、ものすごい力をもって花開いた。
「信じる力」というのは本当に素晴らしいのです。

次はフルマラソンに挑戦するというOさん。走ることが楽しくてたまらないし、可能性を見出してくれたトレーナーさんに恩返しをしたいと笑顔で語っていました。
Oさんのトレーナーさんのように、人を育てる、人を応援するに理屈はいらない。ただ、「信じる」。それこそが本当に大切なことなのだと思うのでした。

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