経営者、中間管理職、新入社員。同じ会社で同じ目標に向かっていても、立場によってどこを見ているかは違うものです。
経営者は10年後、30年後を見て今の判断を行うことは常ですが、中間管理職であれば1‐3年後、新入社員に至っては今で精一杯でしょう。
この「どこを見ているか」によって、物事の捉え方や判断は変わってきます。
若い頃、上司は先を見てモノを言っているのですがそれが分からずに、「どうしてそんな訳の分からない判断をするのだろうか。」と疑問に思ったことが何度もありました。
かたや自分がマネージャーになった時、先を見据えて物事を考えるのはごく当たり前のことになっているのですが、見ているところが違うためにメンバーの理解を得ることができず、逆に反発を買ってしまったことがあります。
私たちはその時々の立場でモノを見て考え、発言をします。新人は新人の立場で。管理職は管理職の立場で。経営者は経営者の立場で。それは決して悪いことでも間違いでもありません。
大切なことは、自分の立場だけで物事を発信するのではなく、他者の理解を得たいと思うのであれば、相手にわかるように説明しなければいけないということです。特に上の立場の者が話をする時には必ず意識しなければいけません。
「よくわからないので、課長が結論を下すに至ったは背景を教えていただけますか?」と上司に質問すると、「そんなことはお前が知らなくてもいい。これはもう決めたことだから、それに従ってくれればいい。」と返事が返ってきたことがありました。私は単なる歯車の一つにすぎないのかな、と悲しく思いました。決定の経緯も分からず、決定内容そのものにも納得していなかったので、適当にしか取組まず、ほとんど成果が出なかったことを覚えています。
方針や方向性は示すだけでなく、取り組む人たちの確かな理解と深い納得が必要です。そのためには十二分な互いの意思疎通が求められます。忙しいからと必要最小限の事しか伝えないのではなく、お互いの立場に立った血の通ったコミュニケーションをしっかりと行うことがチームの土壌づくりに最も大切なのだと心しなければなりません。