『日本でいちばん大切にしたい会社』知られる法政大学大学院 坂本光司教授が新しいご著書『理想の会社をつくるたった7つの方法』をパソナキャリアカンパニー 渡辺尚社長と共同で出版なさるということで、その記念セミナー「理想の会社のつくり方」を拝聴してきました。
著書の中でも取り上げらている「理想の会社」の方の話や渡辺社長の話も魅力的でしたが、私が最も響いたのは、坂本教授の一言です。
「『人を幸せにする』という言い方は、そもそも上から目線であり、間違っている。」
常々私が感じていた違和感を的確な言葉で表現していただくことができ、スコーンと胸の空く思いがしました。
「『人を幸せにする』という上から目線ではなく、『関係者が幸せを実感する』という下から目線で経営者は考えなければいけない。「何かをしてあげる」という上から目線で行動している限りはダメなんだ。いかに関係者が幸せを実感することができるのか、そのためにありとあらゆる努力をすること。幸せを感じるのは、社長ではなく関係者一人一人なんだから。」
よくスポーツ選手などが「日本に元気を与えたい」などと言います。講演などではスピーカーの方が「今日は、皆さんに元気にしてあげたい」などと言うこともあります。
私はずっとずっと思っていました。「それ違うんじゃない?あなたに元気にしてもらうんではなく、自分で元気になるのよ。元気を分けてもらうことはあるかもしれないけど、それは与えられるのもではなく、自分に選択権がある。あなたに元気にしてもらおうとか、幸せにしてもらおうとか、そんな風には思っていないんですけど。」
いつの頃からか、「うちの会社の社員を幸せにしてあげたいんだよね」「メンバーを元気にしてあげたいんだよね」「彼らのモチベーションを上げてあげたいんだよね」という、上から目線(もちろん、当のご本人にそんなつもりはないのでしょうが)の言い回しが一般的になってしまいました。
その結果、「幸せにしてくれない」「元気にしてもらえない」「モチベーション上げてくれない」と不満ちゃん、いや、他責ちゃんを気づかずして作ってしまっているように思います。
幸せを感じるのも、元気になるのも、モチベーションを上げるのも、すべて、他人ではなく当事者本人なのです。
他人ができることは、その「お手伝い」だけ。
経営者が社員を無理矢理に幸せにしてあげることはできないのです。経営者ができることは、社員やその家族、関係者が幸せを実感できるよう、ひたすら相手のことを大切に思って、彼らが幸せを実感できるように、必要なコトを行うだけなのです。
こういう下から目線の経営者であれば、「〇〇してやっているのに・・・」という発想にはならないでしょう。
「実るほど頭が下がる稲穂かな」
立場が上になればなるほど、気づかずして上から目線の表現を使ってしまうこともありますが、それは潜在意識の表れかもしれません。
常に下から目線で、頭が下がる稲穂でありたいものです。