「すべては関係性の質から始まる」と何度もお伝えするのですが、
「それはさぁ、綺麗ごとだよ。結果がすべてだよ。ビジネスにはスピードが求められるんだ。綺麗ごとだけではやっていけないんだよ。」
と仰られるお客様も多くいらっしゃいます。実際のところ、数年前までの私もそうでした。
「結果が全てでしょ。仲良しグループではやっていけないんだから。」と。
関係性の質が良いというのに、仲良しグループである必要はありません。結果を出すのに必要な良質な関係性が仲間の間で担保されているかと言うことです。
押しつけられない公平な間柄。仲間外れや隠し事のないオープンなコミュニケーションが取れている。相互の信頼関係が築けている。上司部下、先輩後輩、出身大学やその他個人的自由等に縛られた垣根がない。失敗できる環境、。失敗してもチャレンジした事実と勇気の方を称賛してくれる環境。
こういうことが「関係性の質が良い」ということなのではないでしょうか。
良い土壌なくして地面に強く張り巡らした根っこは延びず、力強い根っこなくして太くて丈夫な幹や枝は成長しない。そしてそうした根幹(まさに「根っこ」と「幹」ですね)なくして果実が実ることはないのです。
組織において「土壌づくり」が何よりも大切。
分かっているのにできないのには理由があります。
それは「時間がかかる」こと。
しかし、今日始めなければ明日、明日でなければ明後日と、いつまでたってもその土壌=関係性が良くなることはなく、結局は手に入れたい「上質な果実」は永遠に手が入らないのです。
数週間前にご近所さんから水仙の球根をいただいたので、ある実験をしてみました。
2つのプランターを用意し、一つには普通の土を入れました。もう一つの方にはしっかりと栄養豊富に作りこまれた土を入れました。そしてそのプランターにそれぞれ10個ずつの球根を植えました。
結果は言わずもがな。豊かな土のプランターからはすぐに沢山の芽が出始め、普通の方はなかなか出ませんでした。
プランターの位置を少しずらし、普通の方は日当たり良く、お水も適量をしっかりとあげました。
豊かな土のプランターは少しだけ日当たり条件を悪くし、お水は同じように適量をあげました。
それでもやはり、豊かな土のプランターの方が元気に育っています。
急がば回れ。結局は、時間がかかっても土壌づくりに勝る早道はないのです。
良質な関係性が保たれているチーム。それは先にも書きましたが、「感情を伴った本音」が語れる心理的安全性が担保されたチームなのではないでしょうか。
一朝一夕にできるものではありません。しかし、土壌づくりを怠って上質な果実は決して望めないのです。
何故なら人間は機械ではなく感情を伴った生き物です。ビジネス現場において感情はとかく無視されることが多いですが、感情を伴った本音を語ることができる人間らしいより良い関係が保たれたチームこそが本当は必要なのです。
成果の果実を、上質な果実を実らせることができる最も重要な条件。それは土壌づくりを怠らない事です。
今始めなければどんどん土壌汚染は進むかもしれません。少なくとも、今より良くなることはないでしょう。つまり、今より上質な果実は手に入らないということです。
時間はそれなりにかかるかでしょう。しかし、必ず結果は出ます。
関係性の質の向上を図ってこそ、より良い結果が得られるのです。