「また辞めたんですか・・・」
と社長らしき人が打つ手がないと嘆いているテレビCMを目にしました。
色々と対策を打ったけど、もうお手上げだというものでした。
実際、退職者が増えたり採用募集が芳しくなかったなどの場合、ハード面での対策は一生懸命考えられますし、具体的施策として打たれることは多くあります。
でもちょっと待って。
本当に必要なことはハード面を整えることでしょうか?
特に退職者数が増えている現状において、例えば給与を上げるとか、福利厚生を充実させるとか、昇進の機会を増やすとか、そういったことで仮に一時的に引き留めることができたとしても、本当の意味でその企業に心を置いてくれているかは疑問が残ります。
最も必要なことは、実は最もシンプルで、いつでも誰でも取り組めることで、しかし、あまりにもシンプル過ぎて後回しにされたり軽んじられたりしていることだと思います。
それは・・・
しっかりと話合うことです。
互いの気持ち、考え方をしっかりと伝え合い、理解し合い、相手が何を考え、何を感じ、何に困っていて、何を欲しているのかを、相互に分かり合うことです。
なーんだ、そんなこと?
と思われるかもしれません。
はい。そんなことです。
しかし、そんな簡単なことだから、敢えて時間を取って全員が集まってじっくりと話し合うことも日常においてはなかなか軽んじられ、何かがあると「飲み会やったらいいんじゃないですか?」とお茶を濁すというか、小手先の方法でごまかされがちです。
飲み会を全面否定するわけではありません。
しかし大切なことは、何度も繰り返しますが、互いに理解し合うこと。
考えを、気持ちを、何に困っているのか、何を欲しているのかをです。
そんなこと? と思っても、敢えてそこにしっかりと時間を取って、じっくりと話し合うことで、これまで気がついていなかったことに気がつき、それぞれが自ら行動を少しずつ変えたことで、劇的に変わっていったチームはたくさんあるのです。
もちろん、改めて「話し合う」ことにハードルの高さを感じ、私共にファシリテーションのご依頼をいただくこともたくさんあります。
話し合うことで、もしかしたらパンドラの箱を開けてしまうかもしれない。
見たくない、気がつきたくない、知らなくてもすんだ、色々な事柄が明らかになり、一時的にストレスが増してしまうかもしれません。
しかし、そこを避けることは、例えば、日々、少しずつ増え続ける体重に目を背けて自分の好き勝手な生活を送り続け、気がついたときには恐ろしい体重になっているばかりか、生活習慣病の悪化にいたっているかもしれないのと同様の道をたどるとも言えるのです。
また辞めるのですか・・・
そう感じたならば、その時に必要なことは、ハード面の対策ではなく、9割9分はソフト面を見直すことです。
あなたのチームはしっかりと互いに理解しあえていますか?
それぞれが何を考え、何を感じ、何に困り、何を欲しているか、あなたは明確に文字化することができますか?
また、あなたのことをメンバーは文字化することができますか?
誰でもいつでもその気になればできるのに、日々の業務に追われて本当に一番大切なことを後回しにしていませんか?