「業界NO.1企業の社員の君たちより、〇〇社の営業の方がよっぽど優秀だ!」
新卒で就職した会社の研修講師から、よくこんな話をされた。
私たちは会社の看板で仕事ができる。
しかし、3番手4番手の企業は、看板だけでは上位企業には太刀打ちできないため、より学び、知恵と工夫をこらし、さらにチャレンジ精神も旺盛だというのだ。
これは、退職してから痛感した。
ああ、私は会社の看板に想像以上に助けられていたのだと。
これは業界の序列に限った話ではない。
JTC企業(日本の伝統的企業)とベンチャー。
両方の人材育成に関わってきた経験から言わせていただくなら、受身社員の割合とチャレンジの度合いの差は歴然だ。
しかも問題なのは、その状況に、多くのJTC社員の自覚が驚くほど低いということだ。
なぜ気づかないのか。
自覚できないのか。
それこそ、風土がなせる業かもしれない。
朱に交われば赤くなる。
茹でガエルになるまで気づかない。
これに抗うには、異なる環境に身を置くのが一番である。
例えば、ベンチャー留学がその一つの手段だ。
JTCからベンチャーやスタートアップに短期社外留学した人の多くは、スピード感、裁量と責任、チャレンジの幅、発想の柔軟性や自由度に最初は戸惑い、焦り、打ちのめされる。
自社でこれまで培った自信がもろくも崩れ落ちてしまう場合さえある。
しかし、その時、初めて、自分は「井の中の蛙」だったと気づくのかもしれない。
では、伝統的企業の社員が「井の中の蛙」から脱するにはどうすればいいのか。
それは、自らの「環境」を疑い、意図的に「異質な場」に身を置くことだ。
社外留学、副業、越境学習──手段は様々ある。
重要なのは、「自分の常識が通じない場」で、自分の力を試すこと。
その経験が、思考の枠を壊し、行動の幅を広げる。
そして、企業としても、こうした「越境経験」を支援することが、人的資本投資の一つである。
「可愛い子には旅をさせよ」は、個人だけでなく、組織にも当てはまる。
人材育成とは、守ることではなく、挑ませること。
その覚悟が、組織の未来をつくる。
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