業務委託案件に応募しようとしているプロフェッショナルから、こんな相談を受けた。
選考条件として、HIC(ヒューマン・キャピタル・インスティテュート社の適性検査など)、ストレスチェック、実務能力テストの3点が提示されているという。
彼が提供する価値は、現場で培った実践知と高度なソフトスキルの融合であり、定型的な実務能力テストで簡単に測れるものではない。
加えて、新卒採用のようなHICやストレスチェック。
彼の中に浮かんだのは、「自分はどんな存在として扱われているのか?」という率直な疑問だった。
業務委託であれ採用であれ、本来、面談とは双方が対等な立場でプロフェッショナルとしての視座をすり合わせる場である。
それにもかかわらず、テストを必須とする背景には、「対話だけでは判断しきれない場合、テストに委ねる」という姿勢が見え隠れする。
それは必ずしも悪意ではない。
しかし、「もし失敗しても、テスト結果に基づいた判断だった」と説明できる余地を残したい。
そうした無意識の自己防衛が、選考プロセスに組み込まれているようにも映る。
だが、過去の実績や対話から相手の本質を見極められないまま迎え入れた場合、果たして採用後に、適切な期待設定や指示、評価ができるのだろうか。
私がこれまで見てきた限り、人材が活躍できない原因の多くは、スキル不足や相性の問題ではない。
むしろ、「受け入れ側の準備不足」に起因している。
・ミッションが曖昧
・権限移譲がなされていない
・既存メンバーとの役割分担が不明確
こうした状態のままでは、どれほど優秀なプロフェッショナルを迎えても、力を発揮できるはずがない。
言い換えれば、「プロを活用するスキル」を持たないまま、プロフェッショナルを求めているのである。
プロフェッショナル人材は、管理すべき対象ではなく、課題解決を共に担うパートナーである。
そう捉えたとき、採用や契約の入り口で、どのようなスタンスが望ましいかは自ずと見えてくる。
信頼に基づく裁量がある環境こそ、プロフェッショナルが最も力を発揮する。
一方で、参画前から疑いの目を向けられたり、参画後に過度な管理下に置かれたりすれば、彼らは力を出し切る前に、その場を去っていく。
プロフェッショナル人材の活用がうまくいかないとき、見直すべきは「人材の質」ではなく、「活用する側の姿勢」ではないだろうか。
これは、数多くの現場を見てきた中で、私が確信していることである。
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