早稲田大学の日向野幹也教授は大学教育現場において若年層にみるリーダーシップ開発の第一人者であられ、前任の立教大学から引き続き早稲田大学においてもアクションラーニングを使った学生たちのリーダーシップ開発に取り組んでいらっしゃいます。
先日、日本アクションラーニング協会からの依頼により、日向野教授のゼミ生達のアクションラーニングセッションの授業にオブサーバーとして参加してきました。
授業は「他者のリーダーシップ開発」と題され、2016年度秋学期の早稲田大学ティーチングアワードを受賞しました。
自分のリーダーシップを開発するのではなく、他者、つまり友人や同僚のリーダーシップを開発することを目的としているという点で、とてもユニークであり、これは学生のみならず、社会人においても大いに参考になる授業だと思いました。
今回の授業では、社会人が職場で抱えている緊急かつ重要な問題を課題提示し、それに対して、学生メンバーがアクションラーニングの手法を使って、問題解決へ向けて話し合いを行うと同時に、それぞれのリーダーシップ開発を行うというものでした。アクションラーニングコーチも学生が務めます。
学生たちは自分たちが全く経験していない職場の問題、ある意味、想像さえできない難問に対しても、質問のみを通じてメンバー相互間で協力して解決のための話し合いをしていきます。
今回のセッションでは、学生同士も「初めまして」の人が多く、とても新鮮でした。
私が参加したチームでは、社会人は私と課題提示者のもう1人の計2名。学生は2年生が1人、5人が1年生。全部で8人のチームでした。
まず感じたことは、「今時の早稲田生は優秀だな~」ということです。
1年のうちから「リーダーシップ」の授業を取ろうと思う人たちなので、そもそもが前向きなのかもしれません。しかし、それにしても優秀なのです。
裏を返せば、つまらない。奔放な早稲田時代を過ごした私にとっては、「大学1年のうちからそんなに小さくまとまってどうするのよ~!!!」と言いたい気持ちでした。
親子ほど年が違う社会人を前にしての授業だったので緊張していたのか、それとも、本当にまとまっているのか。
そんな中、1年生の男子学生が、良くも悪くも「自分」の意見をしっかりと主張しているのが、とても新鮮でした。
決して押しつけているわけでも我儘なわけでもなく、「自分はこう思う」と意見を言うことができる。それでいて、誤りや勘違いは素直に認め、自然な形で謝罪することができる。
周囲の顔色を見ながら発言するメンバーもいた中で、とても新鮮であり、また、こういう学生がそのまんま成長してくれれば、是非とも我が社に来てほしいものだと思ったりもしました。
彼は、他者のリーダーシップ開発に努力することもさることながら、しっかりとセルフリーダーシップを発揮していました。自分がセルフリーダーシップを発揮できないのに、他者のリーダーシップは開発できるということはないと思います。そういう意味で、彼は、しっかりと着実に前へ進んでいるのだと感じました。
この学生たちの「他者のリーダーシップ開発」の授業。
これを新入社員や入社2-3年目の社員向けにアレンジして、しっかりと若いうちから自分と他者の両方のリーダーシップを開発することができる人材が育てば、リーダーやマネージャーになってから慌てることもなく、また、相互に良い関係が生じるより良いチームが形成されるに違いないと思うのです。
若手向け「セルフリーダーシップ開発」と「他者のリーダーシップ開発」。
こんな形でもインフィニティはお役に立てるに違いないと思うと、今からワクワク胸が高まるのでした。