組織開発

事例紹介:ガチンコ対話

ガチンコ対話、名付けて「デトックスミーティング」の第1回目は業務時間中に行いました。
(ここまでの話は一昨日、および昨日のブログをご覧ください)
元気プロジェクトの活動を業務と分けて考えるのではなく、これらも大切な業務と位置づけていると参加者全員に理解してもらうためです。

話し合いに先立って、ルールの説明をしました。

・話し合いの目的は、「イキイキ職場を目指す」ために、最初の第一歩として互いを知り合うことであり、愚痴や文句を言う場ではないことを覚えておこう。
・正直に語ろう。
・相手の気持ちや感情を尊重しよう。
・誰か一人だけが話をするのではなく、全員が話し合いに参加しよう。
・正しい、間違っている、考え方がおかしい、などの批判・否定をするのではなく、相手はそう感じている、そう考えていると事実をそのまんま受け止めよう。
・この場で話された内容は、この場だけの話として場外へ持ち出すのはやめよう。

私はファシリテーターとして参加しました。
話し合いが混乱しそうになったり、ルールに逸脱した人がいた場合には、場の安全性を担保するために介入することもありますが、基本的には黙って見守ります。

最初は、ついつい誰かを批判した言い方になってしまったり、自分の愚痴や不平不満を吐き出したりという物言いになっていた皆さんも、次第に、前向きで建設的な物言いに変わっていきました。
誰かの話に反論したくなった時、最初の方こそ私が止めたりもしましたが、そのうちメンバー同士でブレーキがかかるようになりました。

設定した2時間半はあっという間に終わり、まだ皆さん、もっと続けたいという顔をなさっていました。

「今日は最初なのでこれで終わりにしましょう。
なるべく早いうちに皆さんの予定を調整して2回目を行うと良いですね。
ところで、私はいた方がいいですか?
皆さん同志で話し合いのルールを守れるのであれば、私はいなくても問題ないと思うのですがいかがですか?」

こう問いかけた時、「いてください!自信がない・・・」と真っ先に答えたのは、ナント!部長さんでした。
その場にいた課長さんたちは皆さん大笑い。
「なんか部長、肩の力抜けてていいよね。」
「え?いやさぁ、俺、そんなに自信家じゃないぞ。頑張ってんだよ。俺もさぁ」
「部長もいろいろと大変なんですね。話、聞いてあげますよ。」
「お! 今日、この後、飲みに行くか?!」

こんな会話が自然となされました。
たった2時間半の本音でのガチンコ対話でしたが、互いを否定せず、批判せず、「そう感じている」「そう考えている」「そんな事実があったんだ」と「事実」をそのまま理解することで、これまで目に見えずとも確かに存在していた部長と課長達との壁が、少し低くなったようでした。

次のデトックスミーティングは初回よりも格段に上手くいき、マネージャー達が何かしら会議室に籠って話をして出てきた後は、なんか表情がスッキリとしていると、一般職の皆さんたちの間で話題になるようになりました。

さあ、次は一般職の皆さんのガチンコ対話です。
これには課長さんたちがオブザーブ参加です。
課長さんたちにとっては耳の痛い話もたくさん出てくる可能性大の一般職デトックスですが、自分たちがデトックスをしてその効果を実感しているためか、オブザーブ参加を拒否する課長は一人もいませんでした。
それどころか、それぞれのメンバーに、「いいぞ~。毒出しは!」と勧めてくれたのです。

部長・課長のデトックス、同じ課内のデトックス、課を超えた一般職選抜メンバー(同じ部内)のデトックス、など、ガチンコ対話・デトックスミーティングを丁寧に行いました。
何回目からはデトックスというよりは、ビジョンを話し合ったり、具体的問題解決に向けた前向きな内容になったりしていきました。

ガチンコ対話と言うと、衝突や混乱が起きるのではと、皆さん、怖気づいてしまうことがよくあります。
大切なことは「ルールの遵守」と「何のための対話か」を忘れずにいることです。
この二つを私は本当にしつこく何度も何度も話をしました。
模造紙に大きく書き出し、話し合いの際中には目のつくところに貼り出して注意を促しました。
対話中、少しでも様子がおかしいと感じた人には、終了後に個別で丁寧にフォローをしました。

前向きにガチンコ対話ができるということは、そのチームには安全性が担保されているということで、言い辛いことでも言える、聞きたいことは聞けるという関係性になっているということです。
ガチンコ対話の後にも元気プロジェクトにはいろいろなプログラムが用意されていましたが、この対話が上手くいった段階で、プロジェクトの半分は成功したのも同じでした。

部門の変化は、部門の取り組みを横目で見ていた別部門の皆さんの反応でわかりました。
「なんか最近、隣の部門の人たち、明るいよね。」
「楽しそうに仕事してるよね。」
「いっつも会議室で何やってるんだろう?」

「いやあさぁ、デトックスしたからスッキリしたんだよ。そっちもやってみたら?
デトックスしただけなのに、メンバーから『マニュアル改善したいんですけど』とか『次の中経づくりに参加させてください』とか声が出てきてさ、ホント、毒出しって大切なんだってわかったよ。」

満面の笑顔でそう答えた部長さん。
今では課長さんたちとの垣根もすっかりなくなり、ギスギスお疲れ職場からイキイキ職場に向けて、全員で邁進していらっしゃいます。

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