知識創造理論で世界的に有名な一橋大学名誉教授の野中郁次郎先生と21万部のベストセラー『キリンビール高知支店の奇跡 勝利の法則は現場で拾え! (講談社+α新書)』の著者であり、元キリンビール株式会社副社長の田村潤氏の対談「硬直した組織を打破する『現場力』」へ行ってまりました。
野中先生のいつもながらの難解でありながらもユーモアを交えた語り口調に加えて、田村氏の書籍には書かれていないエビソードのご紹介など、大満足の2時間でした。
その中で、私が最も心に響いたこと。
それは、懇親会時に田村氏に質問をさせていただいた時の答えでした。
「高知支店に立て直しを決意した時、『6,000人のキリン社員を全員敵に回してでも自分はやり切る!』と、そこまでの強い決意、思いを抱かせる原動力となったものは何ですか?」
これに対して田村氏は明快にお答えくださりました。
「俗人的な話になるからさっきは言わなかったんだけど。僕を評価してくれて引き立ててくれた尊敬する先輩がいたこと。その人みたいになりたいとずっと思っていたし、高知は左遷だったけど、評価してくれたその人を辱めるようなことはあってはならないと思っていた。」
「結局は、『人』ということでしょうか?」
「そうだよ。結局は『人』なんだよ。」
「ただ、今、その『人』がいなくてどの企業も困っているんですよね。先ほど野中先生が、『我々の頃の上司は皆、よく勉強していた。尊敬できる人がどの会社、どの部署にも少なくとも数人はいた。』とおっしゃっていましたが、裏を返せば今はないという事ですよね。私は今、その『人』を育てるお手伝いを仕事としていますが、どの企業様もそこにとても苦労なさっています。」
「そう、今はいないんだよな。ほとんど。だから、それを言っても仕方がない。また一から育てるしかないんだよ。」
田村氏とこんなやり取りをしていた時、ふと、デジャヴが私の中で起こりました。
新入社員1年目の頃、ロールモデルとなる女子の先輩社員がいないとみんなが嘆く中、「私がロールモデルになる!」と人知れず心に誓ったこと。
今日、田村氏と話をしていて、「少なくとも私は『尾藤さんみたいに』と思ってもらえる『人』を目指す」と固く決意したこと。
「あの人みたいになりたい」と尊敬され憧れられているマネージャーやリーダー、先輩がいる組織はなんと素敵な事でしょう。
そんなマネージャーやリーダーに、本当は誰でもなれると思うのです。
だって、人の可能性は無限大なのですから。
そういう『人』が一人でも多く存在する組織づくり、人づくりへのお手伝いができることを、とても誇りに感じた今宵です。