マネジメント・リーダーシップ

相手に行動を変えてほしいとき

「マネージャーになって1年以上経つのに、ちっともマネージャーの仕事をせずに、いつまでもプレイヤーのままなんです。マネージャーにしない方が良かったのでしょうか・・・」

こんなご相談を頂きました。
専門職の方の場合、マネジメントには興味がなく今まで通り仕事をしていたいということがよくありますが、マネジメント選任ではなくプレイングマネージャーの場合にもこういうケースは多々あるようです。

その人によって理由は異なりますが、共通して見られる傾向として以下の2つが挙げられます。
① 何度もマネージャーに指導注意しているが聞いてもらえない。
② マネージャーはプレイヤーとしては優秀である。

私が当該マネージャーと直接お話ができる場合にはコンサルテーションを直接行いますが、マネージャーの上司にあたる方とのコンサルテーションも多くあります。
そんな時に感じること。
それは、「上司の方は本当に一生懸命だけど、部下にあたるマネージャーのことを実はあんまり知らない」ということです。

マネージャーの仕事をしてほしいために何度も注意しているとのことですが、その大部分の時間は上司が一方的に話しており、マネージャーの「気持ち・考え」を聞いていないようです。
更には「マネージャーとしては×」とレッテルを貼ってしまっている場合も多いです。

なぜやらないのか?

プレイヤーの仕事の方が楽しいから。
時間がないから。
必要性を感じていないから。
尺度が上司とマネージャーでは異なり、自分ではやっていると思っているから。
やり方がわからないから。
マネージャーになりたくなかったのに嫌々なってしまい、やる気が起きないから。
やらなくてもチームはちゃんと動いていてそれなりに結果が出ているから。

「できない」のであれは「できる」ように教えてあげる、できるようにトレーニングする、できる環境を整えてあげるなどのサポートが必要です。
しかし、「やらない」のはマネージャー自身の意思によるものなので、「やらない理由」が意識しているしていないは別にして、何かあるはずです。
その理由がわからずして、マネージャーにやってもらうことは難しいです。
更に、仮に無理矢理やらせたとしても、それはやらされ感満載の行動だとしたら、長続きもしないでしょうし、高いパフォーマンスを望むべくもありません。

相手に行動を変えてほしい時、その部分だけにフォーカスしてこちらのリクエストを述べるのではなく、まずは相手が今の行動を取っている原因を知ることが大切です。
そのためには、「なんでやらないの?」ではなく、今現在の相手の気持ちや考えをしっかりと聴く。否定しないで聴く。まずは相手の気持ちを受け止めることから始まるのではないでしょうか。

上司の方が何度話してもダメだったのに、たった1回の私とのコンサルテーションで部下の行動が変わったと驚かれることがあります。
私は特別なことは何もしていません。
とにかく「聴いている」だけなのです。気持ち、考え、価値観を。悩み、迷い、不安、心配を。
時に話は子供の頃に遡ったり、プライベートの事に飛んで行ったり、一見全く無関係な方向へ向かうこともあります。
それでも聴くのです。
そうしているうちに、話はいつの間にか本筋へ戻り、「やらない理由」が明確になり、行動を変えるのに足かせとなっている負担を取り除くことで、その人は「やってみよう!」と思えるようになるそうです。

相手に行動を変えてほしいのなら、まずは相手のことをもっともっと知りましょう。
そのためには、もっともっと聴きましょう。
そうしてあなた自身の関わり方が変わることで、あなたの話をもっと真剣に受け止めてくれるようになるのです。

タイトルとURLをコピーしました