「料理には人柄が出るんです。料理学校時代にも『ここはレシピとか作り方を教えるところじゃない。そんなのは本で学べ。ここは人柄を学ぶところだ。』とずっと言われていました。」
中華の女性シェフ 五十嵐美幸さんのお話です。
「料理人じゃなくても、家庭でも同じなんですよね。イライラしていると塩気がきつくなってしょっぱくなる、落ち込んでいるとぼやけた味になる。だから、いつも厨房に立つ前には気持ちを落ち着かせて臨んでいます。」
笑顔がとても素敵な五十嵐シェフの話に、この人が作る料理はきっと、愛情いっぱいの優しさに溢れたものなんだろうなと思いました。
料理には人柄が出る。
話を聞きながら、マネジメントも結局は同じなんだよな~ と思いました。
世の中にはマネジメントとかリーダーシップとか、こうすればイケる!というようなハウツー本が溢れています。
しかし、これだけハウツー本が世に氾濫しているにも関わらず、マネジメントに関する悩みはなかなかなくなりません。
かく言う私も、たくさんの本を読みあさりました。
溺れる者は藁をもつかむ状態だったと思います。
全く役に立たなかったとは言いませんが、結局、最終的に必要だったのは、ハウツーではなく、「人としてどうあるべきか」「人としてどうありたいか」でした。
そこに気が付くまでに、ずいぶんと時間がかかったのですが・・
結局のところ、マネージャーやリーダーの候補に挙がる人たちは、ある一定上のスキルも実力も持ち合わせています。
しかし、「人として」の部分をどれだけ学んでいるかと言えば、もちろん自然に身についている人もいらっしゃいますが、私は全くのダメダメでした。
だから学ぶ必要があった・・・。
それは、書物から学ぶだけでなく、良き師と出会ったり、共に励まし合うことができる友・仲間と出会って、互いに切磋琢磨し合えたり、マネジメントのハウツーを学ぶよりもそちらの方が、実質的に遥かに大切なのだと気がついたのは40歳をだいぶ過ぎてからのことでした。
料理には人柄が出る。
マネジメントにも人柄が出る。
マネージャーがイライラしていれば、その気がなくても発する言葉はきつくなり、マネージャーが不安に満ちていれば、表情がどこか頼りげなかったり決断ができなかったり、心の状態は恐ろしいまでにメンバーに伝わってしまうのです。
だから、マネージャーは、リーダーは、何よりもまず、自らを整える必要があるのです。
自らを整える
そうして初めて相手にも優しくできる
思いやりの心を持つことができる
客観的に物事を見聞きして、冷静に判断することができる
まず自らを整えよ
五十嵐シェフの話を聞きながら、我が師の言葉が耳にこだましたのでした。