人が最も学ぶのは、成功した時よりも失敗した時の方が多くあります。
「成功から学ぶ」より「失敗から学ぶ」と多く口にされるのはその所以でしょう。
ところがメンバーを育てる時、
うまくいっているケースを見せたり体験させたりすることには一生懸命ですが、
その逆を見せる、経験させることに消極的な人が多いようです。
「彼から学ぶことは何もない」「彼を真似されても困る」
「あのチームは結果が出てないから経験させるのは意味がない」
こんな風に思っているからに違いありません。
しかし、人はどんなことからも学ぶのです。
「ああいう風にすると上手くいかないんだ」
「あの物言いだとお客様は口を閉ざしてしまうんだな」
自分の失敗だけでなく、他人の失敗から学ぶことも山ほどあります。
「人のふり見て我がふり直せ」です。
成功本より失敗をどのように克服したかの書籍の方が断然売れているのは、
「他人の失敗は蜜の味」であることを、多くの人は無意識に知っている。
つまり、失敗からの学びを自分の大きな糧にしたいという意識の表れだと考えます。
「彼・彼女(あそこ)から学びはない」ではなく、
「その状況で何を学んだ?」と気づきや学習を促す質問を投げかけることで、
ネガティブケースからの学びを得意としていない人も、
自然と気づきを得て学習することが可能になっていきます。
誰からも、どんな場面からも学ぶことができる。
必要な学びを掴み取るスタンスに導くのもまた、育てる側の責任なのです。
メンバーを育てたいと願うなら、できるだけ多くの世界を見せてあげましょう。
百聞は一見に如かず。
経験に勝る学びはありません。
あなたや、あなたの周囲のデキル人たちだけの閉ざされた世界ではなく、
幅広い様々な体験をさせてあげましょう。
そうすることで、メンバーは自分の目で見て、耳で聞いて、頭で考え、
自分なりのやり方やスタンスを創り上げ成長していきます。
あなたのやり方しか知らない、あなたの考え方しか知らないでは
メンバーの成長をあなた自身が妨げているに他ありません。
メンバーがなかなか育たないと思ったら、
彼・彼女たちの経験は十分か、あなたという狭い範囲にとどまらず、
メンバーが広く大きな世界に触れているかを確認してみましょう。
仲間同士、隣のチーム、社内、同業他社、異業種間、世代を超えて、
いくらでも経験の場は世の中に溢れています。
メンバーが多くの経験を積んで成長が加速するのも、
限られた世界しか知らずにその場での足踏みが続くのも
経験の場をどれだけ用意してあげることができるか、
もっと経験したいと思うメンバーの背中を押してあげることができるか、
全ては育てる側のあなた次第ということです。