私たち人間は感情の生き物であり、良くも悪くも感情があることにより色々な影響を受けます。
例えば、夫婦や親子、兄弟などの家族関係のみならず、学校、会社、地域コミュニティなど、2人以上の集団となった場合、誰か一人、または複数の人が表すネガティブな感情によって、他者が少なからず何かしらの影響を受けてしまいます。
例えば、家庭において母親がイライラしていていれば、子供は顔色を見て臆病になるかもしれないし、上司が何かしらの理由で機嫌が悪く仏頂面していれば、部下はおちおち相談をすることはできません。
私たち人間は残念ながら毒素を出してしまう生き物であり、出してしまうことを自覚し、気をつけることはできても、全く毒を出さないようにすることは、悟りの境地にでも至らない限り、凡人には難しいのではないかと思います。
こと、組織のリーダーが吐き出す毒素は、たとえ微量であってもチームに大きな影響を与えます。
かつては私も、「非難」「侮辱」などの毒素をかなり吐き出していました。
その結果、知らず知らずのうちに私のチームは二酸化炭素が充満し、酸素欠乏常態。
当の私はそんなことに気づかず、チャッカマンを持ってメンバーの心に火をつけようと一生懸命なのですが、いくらやっても火が付くはずはありません。
酸素がないところでは火は燃えません。自らが吐き出した毒素によって二酸化炭素が充満したチームの空気を浄化しない限り、どんなテクニックも通用しないのです。
私の毒素の影響が自分で思っている以上にチームに多大な影響を与え、組織を酸欠状態に貶めてしまったことに気づいた時、どうしたら解毒できるのか考えました。
侮辱、避難、逃避、無視、防御
様々な毒素が充満してしまっているチームに、それぞれの毒素に応じた解毒剤を用いるのが良いのかもしれませんが、複雑すぎて私にはできませんでした。
どの毒素にも効果的な解毒剤は何かと考えた時、それは「感謝」でした。
感謝はどの毒素にも非常に効果的で、かつ、色々な場面で、様々な人に使うことができました。
部下にも上司にも、お客様や関係先。もちろん家族や友人にも。
「みんなのお陰で私はリーダーとして、上司として仕事ができている。ともに目標に向かって歩いてくれてありがとう。」
「あなたのお陰で私はのびのびと大きな仕事にチャレンジすることができます。いつも私に自由に仕事を任せていただき、権限移譲していただき、とても感謝しています。」
などなど。
大げさに言葉にするだけでなく、「あなたのお陰で私は〇〇できている」という気持ちを持っていれば、自然とそれらが言動にも出てくるようになり、自然と解毒効果も高まるようです。
人間は完璧ではないため、残念ながらどんなに気をつけていても毒素を出してしまいます。
でも、出したということにちゃんと気づけば大丈夫。
出してしまったらすぐに解毒すれば良いのです。
そうやって気を付けているうちに、だんだん毒の出す量も、出し方も変わってくるかもしれません。
そして、忘れてならないのは、最大の解毒剤は「感謝」ということです。
感謝の気持ちを忘れさえしなければ、チームの空気は新鮮で綺麗な常態に浄化され、メンバーの心に灯された火はよくよく燃えることと思います。