仕事と介護の両立
こんなテーマのご相談が多くなってきました。
仕事に集中できなくて周囲に迷惑かけているのが申し訳ない
思うように母の世話ができずに心が痛い
睡眠不足と疲労の蓄積でミスが増えており、そのうち大失敗をしてしまうのではと不安だ
「介護」がきっかけで起こっている事象のようですが、それらは「育児」と置き換えても言えることでしょうし、今や特定の誰かの問題ではなく、社会的課題だと思います。
ところがマネジメントについての悩みが組織のあちらこちらで日常的に気兼ねなく語られることが少ないように、介護や育児の悩みを臆せずに組織で語ることも、まだまだレアケースのようです。
マネージャーやリーダーの皆さんとのワークショップや研修で、各自が抱えている課題や悩みをシェアしてもらうと、きまって皆さんから発せられる言葉があります。
「みんな、同じようなことで悩んでいるんだ。自分だけじゃないと思った。」
「同じ悩みを抱えているマネージャー同士でもっと助け合うことができそう。お互いに話を聴き合うだけでも随分と心が軽くなる。」
困りごとや悩みごとを抱えているのは何も格好悪い事ではなく、程度の違いや若干のふり幅があったにしても、立場を同じくする者同士、誰もが似たような課題感を抱えているものです。
それは何もマネジメントやリーダーシップに関することだけではなく、介護の問題しかり、育児の問題しかりです。
ところが!
時々いらっしゃるのです。
介護や育児は仕事と直接関係ない、プライベートな問題なのだから職場に持ち込まないでほしい! という方が。
介護や育児のみならず、子供の受験、夫婦間の問題、金銭、健康、様々な個人的問題が存在します。
それらは直接に会社(職場)とは無関係です。
しかし、それらの問題を抱えていることで仕事のパフォーマンスに支障をきたすのだとしたら、何かしらのサポートを行うことはあっても良いのではないでしょうか。
そういうメンバーはいらない!と切り捨てるのは簡単です。
しかし仕事とプライベートを完全に切り分けて、別々の人格として過ごすことは私には不可能です。
どこまで関わるかは別として、「そんな個人的なこと、仕事に持ち込むな!」と切って捨ててしまうのか、「そんな大変な状況なんだ。辛いね。」と話を聴くのか、それだけでも話を聴いてもらう方は随分と救われるのではと思います。
介護にまつわる問題にせよ、育児に関わる問題にせよ、私は直接的な解決手段は持ち合わせていませんし、介護についてはまだまだ初心者マーク、育児は未経験です。
ですから適切なアドバイスなどできませんし、ただ話を聴くだけ。
話手の気持ちに寄り添い、時折質問し、また聴く。
ただそれだけです。
それでも皆さん、「元気になった!」とおっしゃっていただけます。
なぜか?
それはマネジメント研修の参加者の皆さんと同じだと思います。
つまり、「自分は一人じゃない」「自分だけじゃない」と思えることで、孤独感から抜け出し、それぞれの中で一筋の光明を見つけることができるからなのかもしれません。
もし、あなたのチームでプライベートな問題で悩んでいる人がいた時、「それは仕事に無関係だから」としてしまうのではなく、「元気ないじゃん。話、聴くけど?」とその人に声をかけてみませんか?
アドバイスは不要。解決策も不要。もちろんお説教なんて論外です。
ただ聴いているだけで良いのです。
相手の気持ちに寄り添って、ただ聴くだけ。
それで結果的に仕事のパフォーマンスが上向きになるのだとしたら、メンバーもチームもダブルでハッピーなのですから言うことないですね。