マネジメント・リーダーシップ

トップの口出しは能力のなさの証明です

父の野球観戦につき合ってジャイアンツ戦を見ていると、まあ、出るわ出るわ、これでもか! というくらいに監督批判の言葉が出てきます。
「人の悪口とかそういうの、聞きたくないんだけど。耳が腐る・・・」
私がそう訴えても聞く耳を持つ父ではありません。
采配が悪い!
コーチの使い方が下手なんだ!
勝っても負けてもいくらでも出てくるのですから、本当にジャイアンツファンなのかと疑いたくなるほどです。

けれども父の言うこと(表現は別として)が当たり!と思うことがあります。
それは、原監督が選手をベンチで叱りつけたり、インタビュー時に批判批難することに対して、父が「お前が悪い!」とブツブツ言っていることです。
監督のもとにはピッチング、バッティング、キャッチング、守備、走塁などのコーチ陣がいます。
普段、選手の指導は監督が直接あれやこれやとするのではなく、コーチがしているはず。
もちろん選手の起用もコーチの意見を参考にしていると思われます。(多分・・・)

これを企業に置き換えて考えると、実に面白いのです。
コーチはマネージャーに当たり、監督は部門長や支店長、場合によっては社長にあたるでしょう。
その支店長や社長が社員を怒鳴り倒す。
関係会社やお客様などの第三者に対して「あいつはあんな失敗しでかしてくれて、ホント、使えないんだよ。」と愚痴る。
これはもう、支店長や社長自身、自分が使えないんだと自ら言っているようなものです。
メンバーが育っていないのなら、その育成役割を担っているマネージャーやリーダーに「ちゃんと指導しているのか?」と言うべきです。
社員が育っていないのが悪いのではなく、育てていないマネージャーが自分の仕事をしていないのです。
「いや、あいつは覚えが悪くって」「本当にあいつは使えないんですよ」
などとマネージャーが言おうものなら、「それは育成能力がないと自分で言っているようなものだろう!マネージャーの仕事はメンバーの育成だ!」とマネージャーを叱咤してほしいものです。
もっと言えば、マネージャーがちゃんと仕事(育成)をしていないのは、支店長や社長の責任であり、自らがマネージャーに仕事をさせることができていない事実を恥じるべきです。

そう言えば、かつてこんな社長さんがいました。
「信頼していた部下に裏切られて、お蔭で会社は今、本当に大変で、僕も参っているんです。」
「へぇ~、そうなんですか。それは大変ですね。頑張ってください。」
口ではそう言った私ですが、心の中は違いました。
「それって、自分にマネジメント能力がないって自ら言って回っていることだと気がつかないのかなぁ・・・。」

チームや組織が大きくなればなるほどトップはマネージャーやリーダーに仕事を任せて彼らに仕事をしてもらわなければなりません。
メンバーに直接あーだーこーだというのは自らの器の小ささを証明しているようなものです。
父のブツブツもただの監督批判ではなくマネジメント論に聞こえ、そこからあれやこれやと気づきを得ることができるのですから、少し見方考え方を変えてみるのは大切だなと思うのでした。

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