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電話営業は営業ではない

電話や電気の経費検討、看板広告や投資信託まで、色々な営業電話がご多分に漏れず弊社にもかかってきます。
個人名しか名乗ってもらえず、または社名を聞いてもわからない時には「どのようなご用件ですか?」と普通に伺います。
ここまでは先方はどの会社の方もとても丁寧で、いわゆる「きちんと」した受け答えをしてくださいます。
問題はその先です。

「申し訳ありませんが、必要ありませんので結構です。」
とこちらが答えた時、いえ、最後まで言い終わらないうちに、ガチャン!と乱暴に切れてしまうことが殆どです。
なんだかなぁ・・・ ととても残念な気持ちになります。

そんな中、昨日かかってきた電話営業の方は、最後までとても丁寧に対応してくれました。
「お忙しいところお時間を頂いてしまい、ありがとうございました。失礼いたします。」

当たり前と言えばそれまでですが、この手の営業電話でこんな風にこちらが先に電話を切ってから自分も切るという、最後まで丁寧に対応してくれる方は本当にレアケースです。

ここから先は私の勝手な分析なのですが・・・

ガチャン! としてしまう人の潜在意識には
「お客様になってくれればいいな~と思って下手に出てみるけど、相手にその気がないんだったらどうでもいいや。ガチャン!」
となってしまうのかなぁ。
一方、最後まで丁寧に対応してくれる人は
「お客様になっていただける可能性はとても低いだろうけど、まず電話に出て応対してくれた、それだけでもありがたい。今回はダメでも、自分ではない時に、忘れたころかもしれないけどいつの日かご縁があるかもしれない。今日の一瞬のやり取りにまずは感謝。やり取りに時間をいただいて感謝。」
といった感じかしら。

今時の電話営業は、100本かけても1本もヒットしないことも普通でしょう。
そのため発信側のストレスは募る一方で、対応が乱暴になってしまったり、早く当たりが欲しくて、ダメな人にいちいち丁寧な対応なんてやってられない、というのが本音なのでしょう。
しかし、発信側にとっては100分の1のことかもしれませんが、着信側にとってはその1本がすべてであり、それがその会社の印象の全てを決めてしまうことだってあるのです。

本気で電話営業するつもりなら、私だったら経営者として、マネージャーとして、営業の人たちにもっと口を酸っぱくして伝えます。
電話に出てくれただけで、その方の人生時間の一部を共有できたことに感謝するという気持ちを持つように、と伝えるます。
早く「当たり!」を見つけることよりも、発信するその一本一本の応対そのものが、自社の広告宣伝になっているということを伝えます。

ほんのわずかな期間ですが、かつて私が100人ほどのコールセンターのマネジメントをしたことがあります。
「私たちの仕事は電話営業で注文を取ることではなく、一人ひとりが会社の広告宣伝マン(レディ)であり、コンシェルジュである」と、それだけをひたすら言い続けました。
そして、その考え方に紐づいた言動とはどんなものかをメンバー一人ひとりが考えて実践してもらいました。
最初は営業成績を気にしていたスタッフが圧倒的に多かったのですが、それについては敢えて問わず、やがて一人ひとりが広告塔でありコンシェルジュであるとの意識付けがしっかりできてくると、勝手に営業成績も上向いてきて、電話営業へのクレームも激減し、半年でゼロになりました。
電話営業は煙たがられるから会社名を伏せて最初は下手に、ダメならサッサと見切りをつけて次へ行く。という考え方は間違っています。
第一、それでは全く仕事は楽しくないですし、やっている方は苦痛でしかありません。

今日のガチャン!の主をなんだか気の毒に思いながら、そのような電話がかかってきた際に応対するこちら側の姿勢もまた、自社の広告宣伝に繋がることを忘れてはいけないと、自らの姿勢を振り返りました。

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