マネジメント・リーダーシップ組織開発

イノベーションが起きるチーム

NHK朝ドラの「なつぞら」から、今日も大きな学びを頂きました。
あれこれ言うより、その一場面を見て(読んで)頂くのが手っ取り早いかと、以下に記憶のままに記します。

漫画映画(アニメのこと)制作会社のアニメーターである主人公なつは、馬が慌てながら早く駆ける様子を前脚4本にして描写します。
まだ誰もそんなコトをしたことがない時代。
チームリーダーや先輩アニメーターはじめ、アニメーター部門の責任者達も「面白い!」とその挑戦を後押ししてくれます。
ところが、映画監督が猛然とクレームします。

監督「誰がこれを描いたんだ?!」

なつ「それは私が描きました・・・」

監督「誰が描いたかは問題じゃない。問題は、誰が許したかだ!」

リーダー「私が・・ 許しました」

先輩 「私も許しました」

チーフアニメーター「僕も許します」

アニメーター責任者「僕もいいと思います」

監督「本当にこれでいいのか?上手くいくのか?」

チーフ「わかりませんが、やってみましょうよ。」

責任者「やってみなければ、ダメだということもわからないんじゃないですか?」

チーフ「うちにはディズニーのような予算も時間も人手もありません。あるのは若い情熱だけです。それを我々が、どう生かすかです。世界の壁を越えようとするなら、そこに賭けるしかないじゃないですか。」

最後のチーフの言葉、本当に痺れます。

数年前、業界最大手のメーカーさんの関連会社役員Aさんからご相談を頂いたことがありました。
「うちはイノベーション推進部なのに、全然イノベーションが起きないんだよ。そもそも、そういう思考じゃないんだよな。」
「で、どうしているんですか?」
「どうしようもないから、役員自ら必死だよ。あいつらに任せておいたら永遠にイノベーションなんて起きない。」

この言葉に、私は出入り禁止を覚悟でたった一言言いました。
「一か月、たった一か月だけ、Aさんが何にも言わない、口出ししない、手出ししない、ダメ出しも当然しない、ただ見守るをやってみてください。きっと、イノベーションは起きますよ。」

「そんなことしたら俺は役員クビになる!」
「いやいや、悪の元凶はAさんかもよ。」
「もう、相談しないよ!」
と捨て台詞を吐かれ、それ以来、Aさんからの連絡は途絶えました。

それから半年後、いきなりAさんから連絡を頂いたのです。
「いやぁ、尾藤ちゃん。本当にありがとう!あいつら、ホント、すごいんだよ。ダメだったのは俺の方だった。俺が潰してたんだな、あいつらを。ホント、ありがとうね。」
どうやらイノベーションが起きたようです。

まだ誰も知らない新しい事をしようとする時。
正解か、失敗か、それさえも分からない時。
本当に上手くいくのかと不安が先に立つのは誰しも当然の事でしょう。
しかし、やってみなければダメだということもわかりません。
「いや、ダメかどうかは想像がつく」という人もいるのですが、
「ダメだろう」と思ってやるのではなく、「上手くいくように、ダメにならないように、どうするか」を考えて挑戦するのです。
そんな新たな発想と挑戦する気持ち。
そこに蓋をしてしまっては、どんなことにもイノベーションが起きるわけはありません。

「あるのは若い情熱だけです。それを我々が、どう生かすかです。世界の壁を越えようとするなら、そこに賭けるしかないじゃないですか。」

イノベーションが起きるチーム。
それは優秀極まりない人たちの集まりでは決してなく、情熱溢れる人たちと、それをどう生かすか、そこに心配りをしているマネジメントが存在するチームなのです。

それは何も大きな取組み限ったことではなく、例えば仕事の進め方など、日常のほんの小さな事柄にも当てはまります。
マネジメントで大切なことは「情熱の芽を摘まないこと」「その情熱を生かすこと」です。

今朝も朝ドラ、大きな学びを頂きました!

タイトルとURLをコピーしました