組織開発

ご縁を紡ぐ

「尾藤さんはいらっしゃいますか?」
電話の声の主は、数年前に組織変革&職場活性プロジェクトでご一緒させていただいた、当時、まさに大きな大きな変革期真っただ中にいたメーカーの役員を務めていらしたKさんでした。
定年で退任なさり、東京からは少し離れた企業で更にご活躍とのお葉書を頂いていましたが、まさかの突然のお電話に、飛び上がって喜びました。

「いえね、あの時と同じで、またご相談があるんですが、けれども東京じゃないから躊躇していたんですよ。ご相談に乗ってもらえますか?」

大企業の役員というお立場でも常に謙虚で腰が低く、私たち外部ベンダーにもとても丁寧に接してくださったKさんでしたが、それは今も全く変わりなく、その語り口調はもちろんのことですが、数多く一緒に様々な取り組みを行ってきただろうコンサルティング会社ではなく、職場を変わってもなお、私にご連絡いただけたことに感激してしまいました。

当時、超有名外資系コンサルティング会社がKさんの会社では変革プロジェクトを進めていましたが、そこに社員の皆さんが全くコミットしておらず、やらされ感満載で悶々としていたことを憂い、どうしたものかとご相談いただいたのがKさんとのご縁の始まりでした。
「進め方にもう少し工夫があってもいいでしょうし、外資系コンサルの方達の関わり方も、あれがスタイルですから致し方ないのでしょうが、皆さんのやる気を阻害する大きな要因かもしれないですね。」
外資コンサルを結果的に批判する形のコメントになってしまいましたが、私の言葉をそのまま受け入れて下さり、外資コンサルと相談の上、彼らと小さな会社の私とのジョイントワークという、普通ではありえない、というか、普通では外資コンサルが名もないインフィニティのやり方に耳を貸す訳もないのですが、私の提案をもとに一緒に変革プロジェクトを進められたことは、今でも私の大きな財産ですし、あの時のKさんの社内外への物凄い影響力&行動力&求心力は、「リーダーとはこうあるべきなんだ」と私自身が学ばせていただいた、とても印象深い出来事でした。

そのKさんから時を経てまたお問い合わせをいただいたのです。
何を置いてもお手伝いしないわけにはいきません。
「今は小さな会社ですから。けど、それだけにまた、色々と大変なんですよ。」
その地方では有名な大きな企業にいらっしゃるKさんですが、当時のメガ企業とはまた異なるご苦労がおありのようで、苦笑いしながら「なかなか難しいんですよ」と仰います。

新幹線を乗り継いでKさんのお手伝いをさせていただく日々がやってきます。
なんてすばらしい事でしょう。
当時のご縁が数年の時を経て、新たなKさんの職場で新たな別のご縁を生むのです。
本当にありがたく感謝の気持ちでいっぱいです。

ご縁とは紡ぐもの とはよく言いますが、しっかりと紡いだ糸は、たとえ空白の時間があったとしても決して切れることはなく、必要な時間をおいたその後に、再び紡ぎ続けることができるのだと改めて感じた次第です。
ただ目の前のご縁に心から感謝し、今できる精一杯を心を込めて尽くすことで、決して切れることのない強くしなやかな糸を紡ぎ続けていきたいと心に誓うのです。

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