組織開発

社員が会社を選ぶ時代|選ばれる会社になるための本質

かつて日本企業は「会社が人を選ぶ」時代でした。
終身雇用と年功序列が前提で、一度入社すれば定年まで勤め上げることが一般的。
転職は「例外」であり、むしろネガティブに捉えられることも珍しくありませんでした。

しかし今は、主語が完全に逆転しています。

社員が会社を選ぶ時代です。
転職はもはや特別なことではなく、複数の会社を渡り歩くキャリアが一般化し、学生が起業することさえ珍しくありません。
選択肢は広がり、企業側が努力しなければ優秀な人材は簡単に別のフィールドへ移っていきます。

特に「自ら成長機会をつかみに行く人材」は、転職への抵抗がありません。
彼らは職場に不満があるから離れるのではなく、もっと成長できる場所を選ぶだけです。

ここで言う「優秀層」とは、高い専門性を持つ人材、自律的にキャリアを構築する人材、成長意欲が強い人材を指します。
彼らは受け身ではなく、自らの市場価値を高めることに貪欲です。

この前向きな転職を止めることはできませんし、給与やポジションを積み上げて引き止めても長続きしません。
なぜなら、優秀な人材が重視する判断軸はもっと本質的だからです。

  • 新しい挑戦ができるか
  • 正当に評価されるか
  • 心理的安全性があるか
  • 学びや成長の手応えがあるか

これらが満たされなければ、どれだけ待遇を整えても選ばれません。

会社側が「優秀な人材に活躍してほしい」と願うのであれば、まずは彼らが「ここで成長できる」と確信できる環境をつくる必要があります。

そのための起点は非常にシンプルです。
まず、現状を徹底的に振り返ること。
具体的には次のようなことが考えられます。

1.転職サイトの自社口コミを確認する
辞めていった人が、自社をどのように評価しているか。
赤裸々に語られている事実を見て、驚く場合もあります。

2.退職の真因を確認する
表向きの理由ではなく、本音の離職理由を把握すること。
退職者が多い会社に、新しく入ろうと希望を見出す人は少ないのです。

離職理由、社員の声、自社の強み弱み。
これらを正直に見つめた上で、自社は「どんな人材に居続けてほしいのか」を明確に定義します。

多くの企業は、これを曖昧にしたまま採用・育成・評価制度を語ってしまいます。
軸が不明確なまま進めれば、当然ながら施策はバラバラになり、組織文化も定まりません。

誰に残ってほしいのかが明確になると、必要な組織の姿が見えます。
求める行動特性、働き方、キャリア支援、育成機会、評価基準。
これらが一貫し始め、結果として「選ばれる会社」に近づいていきます。

採用がうまくいかない、良い人材と出会わない、定着しない。
この状況が続く会社は、市場から「選ばれる組織」になれていないだけです。

外部環境のせいにするのは簡単ですが、真因は自社にあります。
そして、これは大企業に限った話ではありません。

中小企業であっても応募が絶えない企業、大企業からの転職者が後を絶たない企業は存在します。
彼らに共通するのは、規模や知名度ではなく、明確なビジョンと成長できる環境が整っていることです。

選ばれるかどうかは、会社の大きさではなく、会社の在り方で決まります。

社員が会社を選ぶ時代だからこそ、経営者・管理職が取り組むべきは、選ばれる組織をつくることです。

優秀な人材は、どこでも働けます。
だからこそ、「この会社で働き続けたい」と思える理由を、会社が提供し続けなければいけません。

組織づくりは経営そのものです。
選ばれる組織は、偶然生まれるものではありまえん。
それは、戦略的なつくり込みの結果なのです。

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