必死で会社の将来を考えている人にとって、周囲の仲間が目先のことで終始している状況は悲しいというか、歯がゆいというか、残念です。
これまで、会社存続をかけて、イノベーションを行わないと将来生き残っていけないという会社さんのお手伝いを何社かさせていただきましたが、経営を突き動かしたのは、現場のマネージャークラスの数名の方たちがきっかけ、というケースが多くあります。
皆さん、いきなり事業拡大の方向性を考えるのではなく(そうしたくなるのはごもっともなのですが)、「自分たちは何者か」「自分たち(会社)の存在意義は?」を徹底的に考えていただきます。なぜなら、そこがないと、どんなに事業拡大について話し合っていても、固定概念が邪魔をして、ブレイクスルー、イノベーションは起きないからです。
「自分たちは◯◯会社」から「△△で世の中に貢献」等と、再定義します。そのために社名を変更することもあります。
どんな技術があるのか、その棚卸をします。
また会社に存在している価値観(目に見えるもの・見えないもの)の棚卸もし、捨てるもの、守るもの、新たに取り入れるもの について徹底的に考えます。
例えば、これまでのビジネスモデルから、「慎重」「完璧」という企業風土が根付いていたけれども、それは「捨てるもの」とし、代わって「チャレンジ」「不確定でも走りながら考える」を新たに取り入れるなどがありました。
そうして、自分たちの持っている技術(ソリューション)をどう世の中の貢献に生かしていくかを話し合ったのです。
遠回りのように感じますが、理念に立ち返り、再設定していきます。
例えば弊社ならば、「コンサルティング会社」を捨てられるかどうか、というところです。
ソフトバンクは起業当初は「携帯電話会社」という位置づけでしたが
その後、「通信会社」と再定義し、大きく成長した今、さらに、「『情報革命』の無限のパワーを、人々の幸福のために正しく発展させて、一人でも多くの人に喜びや感動を伝えたい」としています。
世界最大のEC会社 アマゾンは「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」
世界最大の玩具メーカー レゴは「子どもたちに最高のものを提供し子ども達の人生に、何か良い影響を与えたい」
そして、世界最多店舗数を展開するチェーンストア セブンイレブンは「あらゆるお客様にとって『便利な存在』であり続け、『生活サービスの拠点』となる。」
単なる〇〇屋さんではなく、製品やサービスというモノを通して、お客様・世の中にどんなコトを提供する者なのかを考えていきます。
もっと言えば、コトを提供するために、製品やサービスというモノは柔軟に変化、進化していく可能性があるということで、だからコンサルティングでなければいけないことはないし、研修、ワークショップ、などはすべてモノであり、どんなコトを世の中に提供するのか、そこを徹底的に考えるのです。
この「どんなコトを提供する者なのか」
「Who am I ?/私たちは何者か?」を忘れてしまうとモノ(手段)が目的化して、それ以上のイノベーションは難しくなります。
逆に言うと、「私たちは何者か?」がしっかりと腹落ちして入れば、現状に固執しないで、常に新しい方法を模索する柔軟な思考にも繋がりやすいのだと思います。
あなたの会社は何者でしょうか?
「モノ」を通して、世の中にどんな「コト」を提供する会社なのでしょうか。