「将来、サッカー選手になりたいんだ!」
と目を輝かせて話す近所の小学生。
「どんな選手になりたいの?」
「ヨーロッパで活躍できるような選手。ロナウドとか・・・」
「ロナウドのどんなところがいいの?」
「カッコいいところ。」
「他には?」
「・・・・・」
「そっかぁ。サッカーが大好きなんだね。
でも、これからもっともっと練習して上手になるために、
どんな選手になりたいか、もっとイメージできていた方が、
重点的に練習できると思わない?
例えば、ドリブルに強くなるとか、当たりに負けないとか。」
私がそう言うと、少し考えてから彼は言いました。
「うん。そうだね。
ロナウドのプレーも好きだけど、優しいところも好きなんだ。
でも、ロナウドのどんなプレーが好きか考えてみたら、
確実に点を取るところ。
味方にちゃんとパスもするところ。
ファンを大事にするところ。」
そして彼は続けて言いました。
「僕、ロナウドみたいになりたいから、
自分勝手にドリブルして走ってないで、
味方にもちゃんとパスできるように練習する。
あと、ファンはいないけど、
コーチや周りに人達にもっと礼儀正しくしないとね。」
そうなのです。ただ上手くなりたい!ではなく、
どんな風に上手になりたいのか具体的に考え、
できればそのロールモデルがいると、とても具体的にイメージしやすいので、
そこに向けて走っていくことがしやすくなります。
ところが!
いざメンバー育成となると、
マネージャーは「具体的に」イメージしているでしょうか?
勿論、メンバー自身がどんな風になりたいのか、
どう成長したいのかを自分で考えることは必要不可欠です。
しかし、それとは別に、マネージャーがメンバー一人一人について、
どんな風になってもらいたいのか、
どこをどう伸ばしてどんな風に成長してもらいたいのかを考え、
それをメンバーに伝え、メンバーの想いや考えも取り入れ、
両者を合わせて育成に取り組むことが必要です。
つまり、育成においては、
上司であるマネージャーもメンバー同様、いえそれ以上に
具体的にイメージすることが必要不可欠なのです。
メンバー育成と言うと、とかく
「売上げ〇〇〇千万円上げられるようになる」
「新規顧客獲得〇〇件」
などの数値的目標ばかりが先んじていませんか?
育成目標となるべき最初のモノは、定量的目標ではありません。
あくまでもそれはKPIの一つであり、
目標は「お客様から必ず紹介を頂ける(断られない)営業になる」
「指名がかかるサービスマンになる」などの
定性的目標です。
お客様から必ず紹介を頂けるようになるためには、
① 紹介したいと思ってもらえるようお客様から絶対的信頼を得る
⇒ 嘘をつかない。ごまかさない。お客様の利益を第一に考える。
訪問回数を増やし、お客様との関係性をより密にする
⇒ 月間訪問総数を昨対120%にする
②お客様に紹介のお願いを自分から言葉でお願いする。
一度断られても、メゲナイ。
⇒ ご紹介トークや資料を作成する。
アドバイスをお客様から直接いただく。
自分のPRポイントを、仲の良いお客様から直接ヒアリングする。
③ お客様が安心してき紹介できるよう、自分の実績をもっと上積みする
⇒ 昨対120%の数字目標を達成する。
このように「どんな風になりたいのか」を具体的にイメージすることで、
初めて育成計画が具体的になってくるのです。
部下育成とは、ただ数字が上げられるようになることではありません。
一人一人の強みがより強化されることで、
数字は結果的についてくるものです。
サッカー少年が、ロナウドみたいにチームプレイもできるようになりたい!
とイメージしたことで、
自分勝手な行動が目立たなくなってきたと、お母さんが喜んでいました。
このお母さんが素晴らしいのは、ロナウド選手のことを色々と調べ、
日常生活の中で彼に響きやすいよう、色々な働きかけをしたことです。
マネージャーもこのお母さんのように、
メンバー一人一人の具体的育成イメージを描くことで、
そこから共に歩んでいく育成の旅が始まるのではないでしょうか。