マネージャーの困りごとの中に、「いくら言っても分からないメンバーがいる」というのがあります。
鼻っから分かろうとする気がないというのは別の問題ですが、分かろうとは思っているがなかなか分からない時、「理解力が足りない」とか「分かろうと努力していない」とか、マネージャー側がメンバーに勝手にレッテルを貼ってしまうことがあります。
もちろんメンバー側の努力も必要ですが、メンバーに分かってもらいたいと思うのであれば、マネージャーの説明努力も必要です。
ものの本によれば、「わかる」にはいくつかのパターンがあるそうです。
・俯瞰的に見ることで「わかる」・・・全体像が見えるということ
・整理すると「わかる」・・・バラバラのものをグループ分けしてまとめる、順序立てするなど
・ストーリーがわかると「わかる」・・・時系列に筋立てすること
・チャートがわかると「わかる」・・・空間的に認識する
・仕組みがわかると「わかる」・・・ルールがわかること
・規則がわかると「わかる」・・・規則性がわかること。ルールと近い
・置き換えると「わかる」・・・比喩などを使うこと
・直感で「わかる」・・・理由・理屈はない、直覚
これらはいずれも心の内部プロセスで、人それぞれです。得手不得手があるでしょうし、時と場合によってどの「わかる」で分かるのかは変わってくるでしょう。
ここで言いたいことは、マネージャーは自分の説明の「クセ」を理解し、メンバーが分かりやすいように説明の仕方を変えてあげることができると良いということです。
先日のボイストレーニングの際にコーチから「舌の付け根を下げて声を出して。喉のずっと奥の方に舌の付け根があるからそこを下げて。」と言われました。
舌の付け根を下げるって・・・ できない・・・・ わからない・・・ どうやって下げるの???
言葉の意味を理解して一生懸命舌の付け根を下げようと努力してみたものの、「下げ方」がわかりません。一緒にやっている他の人たちは何の疑問もなかったようで、どうやら私だけがわからないようでした。恥ずかしいなどと言っている場合ではないと思い、思い切ってコーチに質問しました。
「舌の下げ方が分かりません・・・」
するとコーチが言いました。
「お医者さん行って喉を「あーん」て平たいヤツで先生が舌下げるでしょ。あの「あーん」って感じ。」
説明を聞きながら自分の指で舌を押さえて「あーん」とした時、これか!と思いました。
コーチが比喩を使って置き換えて説明してくれたことで私は舌の付け根の下げ方がわかったのです。
コーチは私が右脳人間だということをよく知っているので、この説明を敢えてしてくれたのかもしれません。
「わかる」には色々あるんだと身をもって実感した出来事でした。
メンバーの理解力ややる気を疑う前に、私たちはもっと自分の説明の仕方を磨き、メンバーが「わかる」ように努力しなければいけません。