マネジメント・リーダーシップ

理論や成功談で人の背中を押すことは難しい

人は、理論よりも経験から学ぶことの方が圧倒的に多いものです。
数学の公式や英語の構文をどれだけ覚えても、
それを使用して問題を解いたり会話ができなければ、何の役にも立ちません。
同様に、立派な理論や考え方をいくら学んでも、
それが実務や現場にどのように活かせるが重要です。
その具体例にこそ人は興味を示し、それこそが知りたいポイントなのです。

ですから、人に何かを説明する時には
理屈や一般論ではなく、できるだけ具体的経験を話したいものです。
その経験も、成功談ではなく、大きな失敗談が効果的です。

成功談を聞いて自分の参考にして、
行動にまで移して同様の成功にたどり着ける人が
実際にどれだけいるでしょうか。
「へえ、すごいね。」
「そうすればうまくいくんだ」
と思う反面、
「自分にはちょっと無理だな」
「あの人だから上手くいくんだ」
と、成功談を聞いている中で、
自分にできない理由を無意識に探している人は実に多いです。

ところが失敗談となるとそうではありません。
「それやっちゃぁ、いけないポイントなんだね」
「そっかぁ、自分でもイケるかも」

「他人の失敗は蜜の味」ではありませんが、
失敗談は共感を呼び、一歩を踏み出すハードルを大きく下げてくれます。
成功談よりも失敗談の方が、本当はみんな聞きたいのです。

成功談を話して
「こうやったらうまくいくよ」
と背中を押しているつもりでも、
「それはあなただからできるんですよ」
と心の中で呟いている人は多いはず。

「こんな失敗、やらかしちゃったんだよね。
だからそれ以来、〇〇な工夫をしているんだ。」
と苦笑いしながら経験とそこからの学びを明かしてくれる人の話しは
「この人だって失敗してるんだ。自分がダメでも当たり前か」
とチャレンジへの気持ちを楽にしてくれるでしょう。

理屈や理論だけを並べ立てても
大部分は人の記憶に留まりません。
それはさながら、「〇〇の定理」や「△△の公式」
を説明しているのと同じであり、
今すぐ行動に移すイメージを持てる話ではないからです。
脳裏にバッチリとイメージが焼き付けば、
それも良いイメージ、できるイメージを描ければ、
人は難しく考えずに行動することができます。
経験談はそれを可能にしてくれるのです。

人は理論よりも経験談を、成功談よりも失敗談を聞きたいのです。
あなたは自分のメンバーに、
どれくらいたくさん、自分の失敗についてお話できていますか?

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