激変する社会環境において、
「今のままではマズイ。組織改革が必要だ」
と危機感満載の経営層は多くいらっしゃいます。
変革を経営方針として成し遂げようとするトップの想いは大切です。
しかし、これは十分条件ではありますが、必要条件でないと私は考えます。
なぜなら、ボトムアップで社員が会社を変えることが現実にはたくさんあるからです。
(ご参考:『どうやって社員が会社を変えたのか: 企業変革ドキュメンタリー』)
組織改革成功の絶対に欠いてはならない必要条件(必須条件)
それは「やらせない改革」であることです。
最も陥りがちなパターンは、
ワイガヤ風に自由に意見を出し合い、
「あれはイヤだ」「何とかしてほしいよね」「この先どうするの」
などとデトックス風ミーティングをそこそこ行ったあと、
「このままでいいのか?お前たち?!」
と檄を飛ばして改革へとお尻をたたくパターンです。
その瞬間は「そうだよね」「文句ばっかり言うんじゃなくってやらないとね」
と思うかもしれません。
それが心の奥底から湧き出たもので、
その後も自分自身の内から溢れ出る内発的動機としてキープされているなら
全く問題はありません。
お尻叩きの効果があったというものです。
しかし、お尻を叩かれて一時的にやる気になった気分は
外発的動機に基づくものであり、時間と共に、
またはお尻をたたく人がいなくなった時、
パンパンに膨らんでいた風船がいつの間にかしぼんでしまうかのごとく、
やる気は見る影もなくどこかへ行ってしまい、
当該メンバーにはやらされ感だけが残ってしまうことが殆どです。
改革は、「やらされる改革」では絶対にうまくいきません。
「やらせない改革」を進めなければならないのです。
それには、
本音でとことん話し合う
→ 不平不満を限界まで出しきる
→ 時間を焦らず、真の当事者意識が育まれるのを待つ
ことが必要です。
当事者意識なくして、やらされる改革が上手くいったのを
一度も見たことがありません。
改革は待ったなし。
期限を切って急ぎたい気持ちはわかります。
しかし、最も大切な改革推進者達が「やらされ感」を背負っていては
絶対にうまくいくはずはありません。
必要なことは「で、君たちどうするの?」とあおることではなく、
「自分達が立つんだ!」「自分たちで変えるんだ!」
と心から思う、当事者意識を持つ、
そのサポートを行い、「やりたい改革」に位置づけることです。
未だ、世の中には「やらせる改革」が多く存在します。
「やらせる」のではなく、「やりたい」と思ってもらえる仕掛けを行いましょう。
人は、義務の力より、夢や希望、心からの欲求から湧き出た力の方が、
遥かに大きなパワーを発揮します。
これは組織改革に限ったことではありません。
「やらせる」のではなく「やりたい」へ導く。
何事も、これに勝る成功必要条件はありません。