ミーティングやプロジェクト、研修などの場で議論が上手く進まない時、
議論の意味合いを正しく理解していない人がいるのかもしれません。
「議論で意見を戦わせたい。自分の考えを立証したい。」
などの言葉を聞くことがありますが、
そもそも議論とは、意見を戦わせることではありません。
議論とは協力して話し合うこと。協調性が求められます。
ディスカッション(討議)も意見を戦わせるのではなく、
互いに意見を出し合い、皆で検討を重ねて一つの結論を出していくことを
言います。
意見を戦わせるのは討論(ディベート)です。
自己の意見の優位性、正当性を述べ、反対意見の間違いを突く。
これは議論ではなく討論です。
議論・討議・討論と、日本語ではわかりづらいので、
ディスカッションとディベートと言った方が分かりやすいかもしれません。
多くの場合、職場で必要なのはディベートではなくディスカッションです。
ところが相手を打ち負かそうとしたり、
自分の意見を主張して他者の話に耳を傾けないなど
ディベート思考の人が会議の話し合いに参加している場合、
当然、ディスカッションを行うことは難しく、場は殺伐としてしまいます。
「ディスカッションをしてください」
と言っても、ディスカッションとディベートの違いを明確に理解していないかもしれません。
ディスカッションを行う時、私は次のように説明しています。
「意見を出し合い、吟味・検討を行い、一つの結論を皆で導き出してください。
意見を戦わせるのではなく、違いに耳を傾け、少数意見を尊重し、
可能な限りチーム全員が納得に至る話し合いを行ってください。
参加者全員の協調性、他者への尊重、自主性、自律、すなわち
リーダーシップがなければ話し合いは上手くいきません。
どんな結論を導き出すか以前に、
それぞれが持てる最良のリーダーシップを発揮して、
話し合いに参加してください。」
議論が上手く進まないチームは
議論の意味合いを正しく理解していない場合もありますが、
個人の間違ったリーダーシップに影響されている場合も多くあります。
議論が円滑に進むには、
参加者が新入社員と役職者との混成チームであったとしても、
全員がそれぞれ自律的に、適切なリーダーシップを発揮することが必要です。
討論」が、特定の場で互いの意見、論を戦わすことであるのに対し、「討議」議論は、意見を交わし、いろいろと検討を重ねることにより、最終的になんらかの結論、決議へと導こうとすることである。