成長のスピードは人それぞれ。
頭ではわかりきっている事なのに、実際に育成の立場に立ってみると、
育成側が思い描くスピードとの乖離に思い悩むことがあります。
「育て方にどんな工夫が必要なのだろう」
「あと一息、自分ができるサポートは何だろう」
このように、自分にベクトルを向けるのではなく、
「メンバーの能力に問題がある」と捉えてしまうと、
その時点で、何をやってもすべてが終わってしまいます。
その昔、上司が「種のお話」をしてくれました。
日当たりの良い肥沃な花壇に花の種を蒔いた。
水やり、草取り、綺麗な花が咲くことを願って、毎日世話をする。
数日して、一つ芽が出て。翌日になると、また芽が出て。
どんどんと芽が出て、茎が延び、葉が大きくなっていくのに、
なかなか芽が出ない種がある。
「この種、だめだ。不良種かな? 捨てちゃえ!」
と花壇を掘り返してみると、
今やっと地上に出そうな小さな小さな芽があり、
その芽はすでに、地中に根を張り、
地表では何の変化も見えないのに、
確かに成長していたことがわかった。
人間も同じ。
人の行動が目に見えて変化となって表れるには、
そこに至るまでの心(意識)の大きな変化が必要。
意識が変わって行動が変わる。
行動することで結果につながる。
最初に起こるべき変化は意識の変化だけど、
それは目で見てわかることではなく、
注意深く話を聞いたり、日常を観察しなければ気が付かない。
目に見える変化だけを見て、
目には見えない、人の心や意識の変化を見ようとせず、
「ダメだ!」「言っても無駄!」「使えない!」
と相手にレッテルを貼ってしまうことがあってはいけない。
成長のスピードはそれぞれです。
すぐに比較したり、レッテルを貼るのではなく、
目には見えない変化にも気を配りながら、
見守りながらサポートし続けることが大切です。
もちろん、朝顔だと思って蒔いた種なのに、
いきなりヒマワリが芽を出したのなら、
ヒマワリの花壇に植え替えてあげることは必要です。
また、水や肥料のやり過ぎは種を腐らせてしまう可能性もあるので
過保護にならないことも大切です。