褒めて育てようと、一生懸命に褒めるのに、
メンバーの反応がイマイチな場合があります。
それは褒める側のピントがずれているからに違いありません。
大谷翔平選手に「メジャーでの大活躍、本当にすごいですね」と
賛辞の言葉を送っても、彼が「喜ぶ」ことはないと考えます。
なぜなら、大谷選手の目指しているところは、単なるメジャーでの活躍ではなく、
私たちの想像をはるかに超えた異次元のところにあるからであり、
言葉を選ばずに言うならば、そんな低次元のコトを褒められても、
ありがたくはあっても嬉しくはない、と推察します。
さらに、「洋服のセンスがいいですね。今日のスーツも素敵に着こなしていますね。」
と言ったところで、
大谷選手はファッションセンスを磨くことに関心があるのではなく、
愛する野球で頭がいっぱい(なはず)なので、
全く見当違いな賞賛であり(けなすよりは良いですが)、
褒めて喜ぶポイントではないはずです。
同様のことが、あなたとメンバーの間でも言うことができます。
向上心が強くハイレベルを目指しているメンバーであれば、
「そんな低レベルのことで褒められても嬉しくない」
と思うでしょう。
プレゼンスキルの習得に一直線になっているメンバーに、
資料作成が上手いと褒めても、
今の関心はソコではないので、「あ、そう」で終わってしまうでしょう。
それよりも、プレゼンスキルのわずかな向上、
熱心に努力している姿勢や努力を認めた方が、
メンバーからしてみれば、
「この人は私のことを見てくれている。わかってくれている。」
と感じることでしょう。
メンバーを褒めているのに、反応がイマイチなのは、
あなたのピントがずれているからです。
そして、ピントがずれている理由は、
ただやみくもに褒めているだけで、
あなたがメンバーのことをきちんと理解できていないからです。
褒めるということは、相手を知らなければ適切に行うことができません。
マネジメントとは、相手を知る、理解することからすべてが始まるのだと
肝に銘じておく必要があるのです。