昨日の茶道のお稽古でのお床のお軸は奈良 西大寺のご住職様が書かれた言葉「梅耐百雪潔」(うめ ひゃくせつにたえ いさぎよし)でした。お花は紅梅と白梅、それにフキノトウが萩焼きの花入れに生けられ、私たちの心を和ませてくれました。
今回の言葉の意味は至ってシンプルです。
梅はまだ寒い冬の時期から蕾を膨らませはじめ、幾度もの雪に耐えながら、その時期を待って美しい花を咲かせる。
転じて、人は誰しも幾多の苦労、苦難が人生において降りかかる。何の挫折もなく、何の心配事や不安もなく生きてきたという人はいない。誰もが皆、厳しい冬の時期がある。しかし、そんな冬を乗り越えてこそ、梅が人々の心を和ませる清らかで美しい花を咲かせるように、人もまた、苦難を乗り越えるたびに大きく成長するのである。百雪に耐え美しい花を咲かせる梅のように、私たちもまた、人生の苦難を乗り越えることでより成長できることを願いながら過ごしたいものである。
今回のお軸は、昨年、来日し、日本の大学院進学試験を受ける中国からの生徒さん二人に贈る言葉として先生が選んだものでした。この半年で物凄く日本語が上手になった孫(そん)くんと雅(みやび)さん。それでも、日本の大学院編入試験対策に悪戦苦闘しており、そんな二人を見て先生がおっしゃられました。
試験の合否は単なる結果。これまで頑張ってきた努力は間違いなく二人の身になっていますよ。花が咲くというのは合格だけではありません。誰も知らない日本に一人やってきて日本語を一から学び、日本文化を学ぶために茶道を学び、そしてまた大学院にも挑戦しようとしている二人は、まさに百雪の中で蕾を膨らませている梅の花と同じですよ。試験は楽しんで。合格しても不合格になっても、来週また笑顔でお稽古に来てくださいね。
花を咲かせる、その花の意味も人それぞれ。
「梅耐百雪潔」
私もより美しい花を咲かせるために、喜んで百雪に耐えることができる、そんな心持でありたいと思います。
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