ストレス調査のチーム結果が悪かったり、専門家のインタビューや職場チェックの結果、チームの状況にあまり喜ばしくないフィードバックをもらったりして、「〇〇に取り組むことをお勧めします」などという処方箋が示されたとしても、それにすぐさま真剣に取り組むチームやメンバーたちは本当にごくわずかです。
いえ、いるだけ良い方で、全くの暖簾に腕押し状態の場合だってあります。
そんな時、専門家や発信部署の人たちはこんな風に言います。
「危機感、ないんだよね。」
「わかってないんだよね。」
しかし、もし私が良くないフィードバックを受けるチームのメンバーだったとして、ストレス調査結果や専門家のフィードバックメモを真に受け、その処方箋に真摯に従うかと問われたら、「No!」だと思うのです。
「危機感ない」と言われても、「はい。そんなに危機感ありません。だって、今現在、特段に問題を感じていませんから。」と答えるかもしれません。
数日前から何となく冷たいものが歯に染みたり、歯磨き中に血が出るけど、よくあることだし、まだ歯医者さんは行かなくても良いかな・・・ と思ったりします。
毎年の人間ドックで毎回引っかかる血液検査のある項目。毎年のことだし、目立って体調不良もないし、だから精密検査に行く気にならないな・・・ とか。
年々少しずつ増えていくヘルスメーターの数字。もう少しスリムになった方が洋服も綺麗に着こなせるしと頭では分かっているけど、食事制限とか運動とか、ちょっと面倒だし、まあ、どこか不調を感じているわけでもないからいいかな・・・ とか。
これらもいずれも「危機感の欠如」「当事者意識ゼロ」と言われればその通りです。
では、どうしたら前向きになるのでしょう。
それは「まずい!」「うわぁ、やらなきゃ!」と、それこそが、問題に直面している危機感を感じ、その問題を解決するのは自分自身なんだと当事者意識を持って、初めて処方箋をまともに見たり、取り組もうという気持ちになるのです。
人間の健康問題も、組織の健康も同じです。
「せっかく言ってあげているのに、全然やらないんだよね」
というのは、ただ処方箋を示しているだけ。
そうではなく、処方箋をちゃんと見よう、いえ、処方箋がほしい、何かしらの対策が必要、と、自らが「問題を認識」し、「この問題は自分の問題であり、自分が解決者なんだ」と思うようになることが一番大切なことなのです。
では、どうしたら問題を問題として捉え、当事者意識を持つことができるようになるよでしょうか?
それは・・・・・
押し付けないこと。
自分でそう感じてもらえるよう、感じやすい、発見しやすい、考えやすい場づくりをすること。
素直になって物事を受け入れることができる環境をつくること。
何もしないこと、現状のままが続いた先の、決して明るくはない未来をリアルに想像できること。
などがあげられます。
私たちがご提供するようなワークショップでもそれらは可能ですし、組織開発のコンサルテーションでも十分に可能です。
何度も繰り返しますが、大切なことは処方箋を出すことではなく、「これは自分たちの問題だ!」と問題を認識して、それを解決するのは自分たち自身なんだと当事者意識を持つことです。
「いくら言っても、やり方示しても、全然ダメなんだよね・・・」
と困っているチームリーダーやマネージャさん、人材開発や組織開発のご担当者様。
肝は、処方箋ではなく、「これは自分たちの問題だ!」ですよ。