リーダーシップやチームビルディング、組織開発、若手育成等。
「少しでも良くしたい!」「何とかならないものか・・・」との思いから様々なご相談を頂くことが多いのですが、詳しくお話を伺ってみると、「〇〇を何とかしたい」と思っているご依頼主に問題の根源が存在していると思われることがよくあります。
つまり分かりやすく言えば、例えば、「A部長からチームに活気がないと相談されたけど、活気がない原因はA部長にある可能性が大」ということです。
こんな時、人材開発部や人事部などのご担当者様を介してのご依頼であれば、やんわりとその可能性をお伝えします。
「やっぱりそうか・・・。どうする?」
などとお声を頂きながらも、ご担当者様としっかりとタックを組み、プロジェクトを前へ進めていきます。
私どもの腕の見せ所、私が俄然燃えてしまうのは、「ご依頼(相談)者=当該担当部署の責任者(決裁者)=問題(がありそうな)の主」の場合です。
「お金を払ってくれる人がチームのネックになっていて、本当はその人が一番ベターチェンジしてほしい場合、やりづらいよね。そんな時、どうしてるの?」
こんな質問を頂いたりもします。
私の場合、答えはいたってシンプルです。
ご相談者であろうと、決済責任者であろうと、真摯に向き合い、前へ進めていくということです。
もちろん、「あなたに問題がありそうですよ。」などと、そんな失礼な事を面と向かって言うことは決してありません。
しかし、「現状を良くするためには、望む状態を手に入れるためには、もしかしたら見たくないものが見えてくるかもしれないし、聞きたくない声が聞こえてくるかもしれない。それらを受け止める覚悟はあるか。それらを発した人たちを否定するのではなく、むしろ勇気をもって発信してくれたと思ってくれるか。」といった事柄について、事前に徹底的に確認します。
ここでの確実なコミットメントなしに前へ進むことはできないからです。
逆に言えば、ここで確実なコミットを頂ければ、プロジェクトは8割上手くいったも同然です。
多くの場合、こちらが真剣かつ真摯に向き合って話を進めれば、責任者の立場の方であれば、何かしら思うこともあるようで、「私への不満やなんかもきっと山ほど出てくるんでしょうね。」などと苦笑いしながらおっしゃいます。
そう言っていただけるとしめたもの。
私は決まってこう言います。
「不満や文句やネガティブな事柄が正しいかどうかはこの場合は大した問題ではなく、そう思っている感じている人がいるという事実を知ることが大切なんです。もちろん、そのような話を聞いた時、気持ちの良いものではないです。私も自分のチームの組織開発に向かい合った時、パンドラの箱を開けて私への不満が次々と出てきて、一瞬、気がおかしくなりそうになりました。けれども、目的は『チームをよくすること』。膿を出さなければ、彼らが何を思い感じているかを知らなければ、つまり、汚れを徹底的に取り除かなければ、汚れの上からどんなに良い薬を塗っても良くはならない。まずは真っ白に、ゼロにすること。彼らの文句や不満は、汚れが取れて真っ白に向かうその過程だと思うことにしたんです。」
かつて、私がそのような状況に面と向き合ったことがあるとわかると、皆さん、急に親近感を覚えるのか、興味津々で質問なさいます。
「我慢できるかなぁ?大変だった?切れそうにならなかった?」
「我慢じゃなくて、『うわぁ。どんだけ膿出てくるんだろう』と、客観的に捉えるんです。俯瞰して見るというか。万が一、自分のことを言われていても、その当事者になるのではなく、一歩下がって、いえ、その状況を天井から見ているような気持ちになるんです。
それに、悪いことばかりが出てくるとは限りません。意外や意外、こそばゆいようなことが出てきたり、『へ~』と思うような事とか、『楽しもう』と思って臨むと、案外大丈夫ですよ。」
お金を出す人が問題の主だからとごまかしに入るのは、この仕事をしている者として決してあってはならないことです。
それに何より、どんな人だって完璧な人はいない。
また、悪いところしかない人だっていない。
どんな人にも良いところはあります。
「尾藤さんは猫の首に鈴をつけるの全く臆さないし、得意だよね。」
同業仲間にはこんな風に言われるのですが、それは違います。
『猫』ではないのです。
ご相談者であるということは、「良くしたい」という思いを誰よりも強く持っていらっしゃるのですから、それだけでもう、私は素晴らしいことだと思うのです。
その方ばかりが問題なわけではないし、その方が完璧なわけでもない。
それだけのことです。