マネジメント・リーダーシップ

感情をマネジメントする

どちらかと言うと私は感情の起伏が激しいです。綺麗な言葉で言うと「感情豊か」とも言いますが、この感情のマネジメントに子供のころから苦労してきました。

喜怒哀楽のうち、プライベートでは「喜」「哀」に大きく振り子が触れやすく、嬉しくても悲しくてもすぐに涙があふれてきます。感動しても涙目になりますし、とにかく泣き虫なのです。

一方、仕事の時には「怒」が顕著に出てしまいます。自分の目指すところへ向かわなかったり、中途半端や諦めなどの雰囲気がチームに漂うと、私の「怒」オーラが黙っていても周囲へものすごく出てしまい、チームはピリピリしてしまうことが度々でした。

リーダーのネガティブな感情がチームへ与える影響の大きさは頭ではわかっていても、どうしても自分のチーム、自分のメンバーにだけは感情マネジメントが難しく、私にとっての大きな課題でした。

 

なぜイライラするのか。なぜ許せないと思ってしまうのか。

全ては私自身の「べき」(must・should)をメンバーへ押し付けているからに過ぎないのですが、自分の価値観を他人に押し付けているということに心底気づくまでに随分と時間がかかりました。

ある時、「完璧主義ですね」と言われ、ものすごくビックリしたのを覚えています。自分では完璧主義どころかどちらかといい加減な方だと思っていたのに、他人からはそう見える。だとしたら、チームのメンバーはさぞ息苦しかったに違いない、と思いました。

 

自分の「べき」はどんなものがあるのか、そしてその許容範囲を詳細に書き出してみました。

例えば、こんな風にです。

「待ち合わせの時間には上司より先に来るべき。on timeであっても、上司より遅いのはダメ。」

実際、5分前であっても私より遅く来たメンバーには不機嫌そうにしたことが沢山ありました。

「報告は上司から聞かれる前に自ら進んで行うべき。1回は許せても、2回目以降も督促されるようではダメ。」

2回も同じことで注意を受けるなんて、やる気あるの~? といった具合です。

営業はこうあるべき。女性はこうあるべき。後輩はこうあるべき。などなど。

 

次に、書き出した「べき」が、無くても業務や業績に支障がないかを考えてみます。なくてもいいモノ。もう少し許容範囲があってもいいモノ。どんどん仕訳をしていきます。

そうして自分の「べき」を分析してみると、私の「べき」に対する許容範囲は、本当に狭いことに気がつきました。

 

では、「上司やリーダーはどうあるべき」と私自身は考えているのか、自らに問いかけてみました。

寛容であるべき。

笑顔であるべき。

公平であるべき。

謙虚であるべき。

柔軟であるべき。

貪欲であるべき。

次々と出てくるのですが、「あれ~?私って、どうなのよ・・・・」と思い、途中で恥ずかしくなり、それ以上続けられなくなりました。

他人には自分の「べき」を押し付けているのに、自分は自分のべきをスルーしてるじゃない。これじゃあ、他人に厳しく自分に甘くだわ。

そう思うと、メンバーへ求めていた「べき」の許容範囲がどんどん広がっていきました。

チームをマネジメントし結果を出していくために、どうしても譲れない部分は別として、それ以外の部分は、私の「べき」などどうでも良いのかもしれません。そうやって、少しずつチームやメンバーに対する私の「べき」を手放していくことで、「怒」の感情も少しずつ感じなくなり、穏やかな自分でいられるようになってきました。

 

眉間にしわを寄せてガミガミ言っている私になりたいのではなく、笑顔で和かな愛情深い人でありたい。そのために私に必要な「べき」は何か?

いつも手鏡をバッグに入れ、不機嫌になった時、嬉しいことがあった時、自分の顔を見て、さっきの自分はなりたい自分?」なりたくない自分?と問いかけています。そんな風に日々考え、意識することで、本当に少しずつですが、感情を持て余していた自分から、自分の感情をマネジメントすることができるようになってきたように思います。

 

近しい相手にこそ感情をマネジメントするのは難しいですが、近しい相手こそ大切であり、その人たちとより良い関係性を築きたい。そうだとすれば、嫌な自分を見せるのではなく、素敵な自分を見せられるよう、上手に感情マネジメントをしたいと思います。

 

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