組織開発

自走してほしい

来年1月1日付で新しく組織長となるSさんと、秋から実施してきた組織活性化プログラムの打合せをしました。
今まではSさんの上司のTさんと私とで詳細打合せを進めていましたが、これからはSさんとの打ち合わせになります。
一生懸命に何度も何度も確認を重ねるSさん。
自分の、いえ、自分たちのチームを「会社一番の、お客様からも誰からも慕われ羨まれる、自分たちが誇れるチームにするんだ!」と意気揚々です。

「それで、このプログラムはいつまでですか?」

「本社との確認も必要だけど、私の中では6月くらいかな。あと半年。」

「え? それで終わり?」

「そう。それまでに自走してもらわないと。」

「自走?」

コンサルタントと呼ばれる方達の中には、ご本人が意図してかしないでかは不明ですが、お客様やクライアントさんをコンサルタントに依存させてしまうタイプの方々が実は多くいらっしゃいます。
それは、私は違うと思います。
いえ、私はそうしたくはありません。

今、困っている、躓いている、自分たちだけでは厳しいからお手伝いをする。
それは喜んでお手伝い致します。
けれども、いつまでもこちらにおんぶに抱っこではなく、
「自分たちで問題に気づき、原因を突き止め、対処法を見出し、解決に導いていく」
その考え方と知恵を身につけて頂きたいのです。
問題のない組織になれというのではなく、「問題に気づき、見て見ぬふりをするのではなく正しく対処することができる組織」になる、それが私が言う「自走」です。
(そもそも「問題のない組織」などこの世に存在はしません。「問題がない」と思っている、それこそが「大問題!」ですからね。)

「依存してくれた方が、いつまでもお仕事頂けるからお金にはなるけどね。けど、それじゃあ、お客様の役には全く立ててないと私は思うんだよね。だから、自走できるようにお手伝いするのが私の役目。何年も継続して組織開発のお手伝いしているというのは、お役に立ててないということなんだよね、私の中では。もちろん、自走して、それでも『やっぱりちょっと困った。SOS!』という時はあるだろうし、そういう時はいつでも喜んでお手伝いに飛んでくるけどね。」

半分笑いながら、それでも大真面目に話す私に、Sさんは背筋をピンと伸ばして
「大変だぁ」
と言いました。
「あと半年か。もっとちゃんとやらなきゃ。」
「そうそう、本気でやってね。ビシッといくからね。」

繰り返しますが、組織開発のご支援の場合、継続的に関わらせていただくということは、すなわち、私どものお手伝いは「失敗」だと私は思っています。
組織は自走しなければいけません。
つまり、組織も「自律・自立」しなければいけないということです。
「ずっと、〇〇先生にお世話になっていて、とっても助かっているんです。」
それを否定するつもりはありませんが、私のスタンスととは違う。
お客様を自分に依存させてしまうことは、この仕事に携わる者として失敗以外の何物でもありません。

「じゃあ、7月からは縁が切れちゃうんですか?」
それでも不安そうに訴えてくるSさん。
「縁は切れないよ。いつでも応援しているし上手くいくことを願っているし。困ったことがあったらSOSしてくれて構わない。けど、それが甘えや依存だったら突き放すかも。それがSさんとSさんのチームの為だと私は信じているから。」

新しいご支援が始まれば、それは必ずいつか終了する。
それでもそれは、その組織にとっては旅立ち・巣立ちの時であり、喜ばしい事なのです。
手放す寂しさが無いと言ったらそれは嘘になりますが、お客様の成長・進化を願えばこそ、このスタンスはしっかりと守っていきたいと思います。

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