就職氷河期世代を採用しようと様々な自治体で動きが見られますが、そんな中、ある自治体で、晴れて採用された方達の入社式・辞令の様子がニュースに映っていました。
緊張気味の採用された数人。
その方達へ向かって、笑顔でコメントする首長さん。
「どうぞ定年まで勤めあげてください。」
何も感じないという方も大勢いらっしゃるでしょう。
しかし、私は大いに疑問を抱いたのです。
そこに、「採用してあげたんだから、ちゃんと最後まで働いてよね。間違っても転職なんかしないで頂戴ね。」という、ちょっと意地悪いモノが透けて見えたように感じたのです。
全く私の勘繰りにすぎないのかもしれません。
いえ、きっとそうに違いありません。
けれども、「定年まで勤めあげてね」は昭和の高度経済成長期であれば通用したコメントかもしれませんが、今の時代、それはどうなのよ、と思うのです。
どこで働くかを選ぶのはその人個人です。
それは民間企業にとどまらず、地方自治体であれ、それ以外のNPOや組織であれ同じです。
選ぶ権利は働く側にある。
一社に身を捧げるというのは今は昔、個人の成長や生活環境の変化に応じて、働く場を変えていくことは当たり前の時代です。
「雇ってあげている」などと微塵でも思っている企業にはその風土に驕りが存在し、そこで働く人たちが喜んで働き続けたいと思う場所では決してないと思います。
ここで働きたい
ここで力を尽くしたい
ここに自分の居場所がある
ここなら自分は成長できる
ここで貢献できていると実感できる
ここが好きだ
ここの一員であることが嬉しく誇りに感じる
こんな風な「働く意欲のもと」があるところだからこそ、頑張りたい、ずっといたい、と思うわけで、「勤めあげる」という表現自体が既に「身を捧げての滅私奉公」的に私には聞こえてしまいます。
そうではなく、「あなたたちがここを選んでよかったと思える職場にこれからもどんどんとしていくから、あなたたちも新人だからと遠慮せずに、『自分の居場所』として良い職場にしていってください。それが市民の方達へのサービスに還元されていくと信じています。」位にコメントしてほしかったな~、とテレビを見ながら勝手に思いました。
ここで働きたい!ここで頑張りたい!
そんな環境を創ることこそが経営者やリーダーの仕事です。
首長さんであれば、「ここに住みたい!ここに移住したい!」という町を創るのが最大のミッションであり、その前提として、その目的に向かって共に進んでいく同士が働く行政機関で気持ちよく仕事ができると思える組織作りが大切です。
民間も自治体も同じです。
だってそこで働くのは「人」なのですから。
今年からは、思ったこと、感じたことをこれまで以上に素直に発信していこうと思っています。
批判や避難を恐れずに自分の思いを伝えていく。
もちろん、いただいたコメントは真摯に受け取り、自分なりに咀嚼して糧にしていきたいと思いますし、誹謗中傷が万が一あったとしても、それに流されることなく自分らしくありたいと思っています。