マネジメント・リーダーシップ

発達障害のメンバーちゃん③ 専門家へつなぐ

ちょっとマズいかも・・・ と感じたメンバーちゃんに対して、マネージャーが勝手な素人判断をするのではなく、仕事に支障をきたしている客観的事実をもって、メンバーにそのことを理解してもらうことが重要だと昨日までにお話いたしました。

発達障害のメンバーちゃん / 発達障害のメンバーちゃん②仕事の支障を自己認識する )

 

実は、この「仕事への支障を自己認識する」までがとても重要であり、これができたなら後は、「じゃあ、前へ向いて進むために、より良い解決策を一緒に考えよう」とメンバーちゃんに語りかけます。

あくまで「一緒に」です。「ほらね。だからあなたは皆に迷惑かけてるのよ。(私のストレス源はあなたなのよ)ちゃんとやってもらうためにクリニックへ行ってください。業務命令!」だなどとは間違っても言ってはいけません。

自らの言動が仕事の結果やチームに支障となっている。そのことを受け入れるだけでもメンバーちゃんにとってはかなりのショックな事実です。そんなメンバーちゃんを突き放すのではなく、「一緒に解決しよう」「一緒に乗り越えていこう」と寄り添ってあげるのです。

そして、そのための解決策をあれこれと考える中で、方法の一つして、「専門家に相談してみるのはどうだろう?」とそれとなく話を持っていくのです。あくまでも提案であり、強制や命令であってはいけません。

提案を受け入れるかどうかはメンバーちゃん次第です。自分の問題を何とか解決したい。一緒になって考えてくれている、とても心配してくれている上司のためにも生産的行動が取れる方法を知りたい。メンバーちゃんがそう強く願えば、時間がかかっても専門家への相談を受け入れてくれる可能性が高いのではないでしょうか。

しかし、多少なりとも上司の強要やメンバーちゃんへの否定的な言動が見られたら、メンバーちゃんは上司の提案を受け入れることは難しいと思います。

 

つまるところは、どれだけ上司に心を開いてくれているか。何とかしたいとメンバーちゃんが望んでいるかということです。

そしてもう一つ。決して忘れてならないのは、マネージャーがこの問題を一人で抱え込まず、マネージャーの上司や同僚を巻き込んで、マネージャー自身の言動の客観的ジャッジを必ずしてもらうことです。

「自分一人で何とかしよう」と頑張り過ぎたり抱え込むと、必ず墓穴を掘ることになります。

それくらい非常に繊細で難しい問題と向き合うということです。

 

ちなみに、私のメンバーちゃんはクリニック受診後、自分の特徴をしっかりと受け入れることにより、専門家のアドバイスもあって、仕事のミスやトラブルが随分と減りました。また、私も指示の出し方や伝え方をメンバーちゃんが受け取りやすいように工夫することで、「何回言ってもわかんないのね・・・」という状態がなくなり、結果、ストレスが大幅になくなりました。私のイライラ、が無くなることにより、周囲の他のメンバーへの負の影響もなくなりました。

 

発達障害については報道が多くなされるようになってきただけに、偏見も大きくなってきているかもしれません。

まずは正しい知識と情報を身につけることが大事ですね。

ADHDやアスペルガーであっても適切なマネジメントと本人の自覚と工夫があれば、非常に高いパフォーマンスを発揮することが可能です。多数派から見た少数派を「おかしい」と差別するのではなく、少数派の特徴をしっかりと受け入れてあげることができる、そんな寛恕の心を身につけたいものです。

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