昨年から続けているボイスレッスンの修了式を迎えました。
最後の宿題は「10年後の自分に手紙を書き、その原稿に抑揚記号をつけて、修了レッスン当日にみんなの前で読む」というものでした。
普段、研修で私から受講の皆さんへ、「1年後の自分、3年後の自分はどうなっていたいかを具体的にイメージして、その具体像を文字に落としてみましょう」とワークを行っていただいたり、経営層の方達には「10年後、30年後、50年後の会社をどのようにしたいかを考えてみましょう」とディスカッションしたりですが、私自身が未来の自分に対して手紙を書くという具体的行為を行ったのは初めてでした。
常日頃、「こうなりたい」「こうありたい」と思っていても、手紙と言う具体的に文字化することで、より一層深く考えました。そして、それを声に出して自分の想いを乗せてスピーチする。文字化すること以上に、抑揚記号をつけて想いを乗せて声に出すというのは、私にとってはとても強烈な経験でした。
パソコンのボイスレコーダーで自分の声を録音しては、「これじゃぁ棒読みだわ」「伝えたいところの強調が弱いかも」などと、修正をしてまた録音をします。こんなに一生懸命練習したのはいつぶりだろう、と思うくらいに、声を出しては聞き、聞いては修正し、また声を出す。この繰り返しを行いました。
さて、修了レッスン当日。原稿を見ながら自分が書いた文章をみんながスピーチするのですが、当日、テレビカメラの撮影が入っていたこともあり、緊張屋さんの私はテレビクルーの方が帰った後の一番最後にスピーチすることになりました。カメラがなくなったこともあり、気持ちはすっかりリラックス。「あれだけ練習したんだから、そこそこにできるかな」と、いざ、声を出しました。
ところが!
読み進むうちに、私に練習の時には全く起こらなかったあるコトが起こりました。
場の雰囲気もとても良かったのだと思うのです。今の私が語りかける手紙の内容を、10年後の私が照れながら笑顔で聞いている。そんな映像がスピーチしながら目の前に見えました。想いを届ける、想いを伝えるスピーチのはずだったのですが、笑顔で聞いている10年後の自分を見た時、心の中である感情が一気に溢れ出てきて、涙で声が詰まり続けられなくなってしまったのです。
「すべての人には無限の可能性がある」とみんなに伝えながら、本当は泣きながら自分に言い聞かせていたのを、私、知ってるよ。
変わりたいのに変われなくて、昔の自分を後悔して、いつも、めそめそ、くよくよしていたのに。
(中略)
よく頑張ったね。すごいね。えらかったね。
本当に人は変われるんだね。なりたい自分になれたんだね。
涙で声が詰まったのは、今の自分を嘆いてではありません。
10年後の笑顔の自分を目の前に見た時、嬉しさと誇らしさと、本当に我ながらよく頑張ったなという労いと、そんな色々な気持ちが相まって、そうしたら涙が溢れてきたのです。あれは、10年後の自分を予祝した嬉し涙であり、10年後の私が流した涙だったのです。
このスピーチのお陰で、今、私は「なりたい自分」になれない気がしません。きっと、イメージした通りの10年後を迎えているに違いありません。
10年後の自分に手紙を書き、今の自分が未来の自分に情感豊かに読んで語りかけてみる。
宜しければ、皆さんもいかがですか?