「一方を聞いて沙汰するな」という言葉があります。
どんな時にも、片方だけの話を聞いて結論を出すのではなく、
必ず両方の言い分を聞き、まっさらな気持ちで判断するようにとの教えです。
相手に対する日頃の感情や思いは誰にでもあり、
何かの判断をしなければならない時、
その日頃の思いに左右されてしまうことがあります。
しかしそれは、判断を誤る要因であり、決してあってはならないのです。
AさんとBさんが揉めている。
互いの言い分をまずは何の感情も持たずに聞いてみる。
営業と技術が反目している。
公平な立場で双方の言い分をしっかりと聞いてみる。
間違っても、Aさんはこういう人だから、営業はこういう体質だから、
などの個人的思いに引きずられてしまうと、
せっかく聞いた内容も歪んだ解釈になってしまいかねません。
ですから、常に公平な真っ新な気持ちで
真摯に話を聞いてみることが大切なのです。
私がバイブルとする佐藤一斎の「重職心得箇条」第6条にも
次のようにあります。
「公平を失ふては、善き事も行はれず。
凡そ物事の内に入ては、大体の中すみ見へず。
姑(しばら)く引き除(の)きて、
活眼にて惣体の体面を視て中を取るべし。」
常に公平に、活眼を開き、真摯な気持ちで人と接したいものです。