「どういう言葉をどんなふうに使っているかが人となりを定義する」
と言ったのは、ハーバード大学のロバート・キーガン教授です。
「本当にもう、お前は使えないんだから。」
上段で軽く言ったつもりでも「使えない」と言う表現を用いるのは、
潜在意識では相手を「モノ」とみなしているからです。
「何回言ってもできないよな。」
相手に発破をかけるつもりで言ったとしても、
「できない」レッテルを貼っていることがこの言葉からは伺えます。
言葉を発した方は全くの無意識でも、
その言葉を聞いた側は、相手の人となりがわかり、
また、心の中が透けて見えるのです。
あなたが発する言葉は、あなた自身が気づいていない部分も含めて
ありのままのあなたがを表します。
どんなに「そんなつもりはない」「それは誤解」と言っても、
あなたの口から出た言葉があなたの人となりの全てです。
言葉遣いや表現を改める、気を付けるのではなく、
あなた自身のあり方、心の持ち方を見つめることが一番大切な事です。
「誰もそこを触ってないし盗ったりしないんだから、
どこかへしまったこと忘れちゃったんじゃないの?」
テーブルに置いてあった頓服薬がないと朝から騒ぐ母に、
半ばうんざりした私がこう言うと、猛然と母が反発しました。
「どうしても私を犯人にしたいのね!
『裸になるから全部調べろ!」と言う、
無実の罪を着せられた人の気持ちがよく分かるわ!!!」
「盗ったりしない」と私が使った言葉に母は過敏に反応しました。
「母が少しボケていて、どうせどこかに紛れ込んでいるにきまっている」と、
全く母に寄り添っていない冷たい私の心が言葉に映り込み、
それが母を攻撃的にしてしまったのだと、後になってひどく反省しました。
使う言葉で「人」がわかる。
どんな言葉をどんな風に使うか。
小手先のテクニックでごまかすのではなく、
しっかりと自分の心を整えることから始めなければいけません。