部下育成にあたり、普段、あなたはどんなことを考えて行っていますか?
営業だったら、営業ができるように必要スキルを教え、ひたすら同行に連れていく。総務担当だったら、業務に必要な法律やソフトプログラム操作を覚えてもらい、間違えたらフォローし応援する。
このやり方では、「そこそこは育つかもしれない」ですが、「大いに育つ」「部下が自ら育とうとする」「放っておいても育つ」状態にはなりづらいと考えます。
なぜなら、そこに部下育成プランがないからです。
簡単に言えば、将来どういう人材になってほしいと考えており(中長期ゴール)、それを踏まえて短期ゴールと具体的目標を設定しなければいけません。目標達成のためにはいつまでに何を、どれくらいのレベルで身につけなければならないのか。誰がそれを教え、どんなタイミングでフォローしようかとあらかじめ考えておくことも必要でしょう。
FPの方はライフプランを設計して必要なお金を見える化し、資金計画のアドバイス等をすることで、お金がないために人生設計が狂わないよう応援します。
同様に上司は育成プランを作って身につけるべき知識やスキルとその期限を見える化し、目標達成を目指す過程で部下が成長していく手伝いをしなければいけません。
ところが多くの管理職は、「行き当たりばったり」でしかありません。これでは部下はたまったものではありません。自分がどこに向かっているのか、いつまでに何ができるようになっていれば良いのか、この仕事の意味と目的は何なのか、上手くいっているのかそうでないのかのチェック&フォローは誰にお願いすれば良いのか等々、明確なことが分からない中で、ただ、日々与えられたことに取り組むだけでは、正しく成長できているのかが自分ではわからないし、当然やる気も上がりません。
また、自部署の組織における存在目的をシンプルでわかりやすい言葉で説明し、部下がそこにコミットして前向きに頑張りたいと思える動機づけも必要です。経理は「お金の管理をするところ」ではなく、「数字を介して戦略と実行を後押しするところ」とした方が魅力的かもしれません。営業は「稼いで儲けるところ」ではなく、「会社の顔・ブランドづくりの最前線」「人として最も成長できる部署」の方が気持ちが前向きになりそうです。
勿論、ただ言うだけでなく、存在目的に即した言動を上司自らが取り、それに紐づく育成プランが立てられ、個々の成長の支援が出来ていなければなりません。
部下の成長が見られない場合、その多くの理由は、上司のあなたが行き当たりばったりでしかなく、育成プランを立てず、部署の魅力的な存在目的を語って部下が「ココで活躍したい」とワクワクするような動機づけも行わず、ただ部下にやるべきことを与えているにすぎないからかもしれません。
思い当たる節があるならば、今からすぐに一人一人の強みを思い出し、期待するゴールに向けた育成プランを作成し、部下がそれにコミットするよう、相手の話も聞きながら丁寧に説明を行いましょう。
そして、日々、育成プランに沿った関りを続けましょう。
そうすることで、今伸び悩んでいる部下も、必ず成長の兆しが見えてくるに違いありません。