組織開発

事例紹介:きっかけは「コミュニケーション研修」の依頼だったけど・・・

「メンバーに何か良いコミュニケーション研修をしてほしいのですが。」

最初のご相談は「コミュニケーション研修をしてほしい」でした。
70人ほどの部門を預かる部長さんからのご依頼でした。

「はい。コミュニケーション研修ですね。プログラムはAとBと・・・」
などとは決して申しません。
そもそも、弊社はコミュニケーション研修のプログラムを持っていないし・・・。

何故、コミュニケーション研修が必要だと感じていらっしゃるのか、どのようなコミュニケーション研修が適当なのかを詳しくお伺いして、必要であれば別の研修会社や知人が行っているプログラムをご紹介しようと思い、まずは部長さんとじっくりお話をしてみることにしました。

すると・・・
んんん?

部長さんは「コミュニケーションスキルがイマイチなんだよな・・・」とおっしゃるのですが、お話をお伺いする限り、私にはそれ以前に別の何かがあるように感じました。
そこで部長さんの上司に当たられる部門統括の役員さま、部長さんの下にいらっしゃる課長さんたち全員からも個別のお話を伺ってみることにしました。

すると・・・
やはり、コミュニケーションスキルの問題以前に、もっと根深いものがあるのだろうという私の疑念が確信に変わってきました。

「部長さん、コミュニケーション研修をご紹介することは簡単ですが、おそらくあまり効果が出ないのではと私は思っています。
なぜならば・・・」

私はこれまでのヒアリングで感じたことを正直に包み隠さず部長さんにお話ししました。
もちろん、個別の守秘義務を守った上でです。
必要なことはコミュニケーションスキルの向上ではなく、いえ、それも後々行っても良いのかもしれませんが、今、部門に必要なことは、第一に、マネージャー層、一般職層、そして部長さん、それぞれの階層に根深くはびこっているモヤモヤを表面化させること。
第二に同じ部門の仲間でありながら、階層間に存在する壁、同じ階層でもメンバー間に存在する壁を壊してしまうこと。
第三に部門がどこを目指すのかを、自分たちの言葉でしっかり語れるようになること。
これら無くして、コミュニケーションの問題でお客様と問題が生じているという表面上のトラブルは根本解決しないのではないかと丁寧にご説明しました。

部長さんは暫く考え込んでいらっしゃいました。
私の話は十分にご理解いただいたと思います。
もっと部門を良くしたい。
現状の沈滞ムード、低業績を何とかしたい。
その思いはおそらく誰よりも強くお持ちだとも推察します。
それでも何かがブレーキになっているようでした。

「引っかかるものは何ですか?」
私はストレートにお尋ねしました。
するとこんな答えが返ってきました。
「皆はどう思うだろう・・・」

私がヒアリングをさせていただいた全員に共通して言えることは、その全員が「今の部門は良い状態ではない」とはっきりと認識しています。
それはこの上なく強い根拠となります。
「『現状を打破したい。もっと良い部門にしたい。もっとみんなが輝ける部門にしたい。他部署に胸を張ってモノを言える部門にしたい。』
そう、部長さんの思いをそのまんまストレートに皆さんに伝えてはいかがでしょうか。」

私からの提案に最初はそんなことは恥ずかしいと言っていた部長さんですが、それでも現状を脱したいという強い思いが勝ったのでしょう。
「部門をよくするための活動を行いたい。みんなに協力してほしい。」
と即日メッセージを発信なさいました。

この日から、私と部長さんを含めた部門の皆さんとの半年にわたる「元気プロジェクト」が始まったのです。

この続きは、明日のブログで。

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