今日は、私が難題に直面した時にどんなリーダーシップを発揮したか、のお話です。
不祥事対応後の企業で行われた、信頼回復を目的とした2泊3日のリーダー研修。
講師陣は、当時勤めていた会社の社長、ベテラン講師2名、そして私。
そして私は、お客様との窓口でもあるコンサルタント責任者でもありました。
初日終了後、クライアント担当者様から私に「課題」が報告されました。
社長のクラスだけ、受講者の活気が今一つ足りないというのです。
理由は様々に推察されますが、私が設計したプログラムと講師との相性のように思えました。
社長の色が自然と活かせるプログラムではないので、
ファシリテーションや受講者との関りに対して、社長のパフォーマンスにもう少し工夫があれば
問題は解決すると思われました。
しかし、最大の問題は、それを誰が、どのように、社長に伝えるか、です。
社長は私のトレーナーでもあり、私を評価してくれている存在でした。
また、プライドが非常に高く、他人から指摘されることを極端に嫌うタイプでもあります。
だからこそ、この状況をストレートに伝えることには、大きな葛藤がありました。
私自身の立場、今後の関係性、何より一時的であっても烈火のごとく怒りをあらわにするであろう社長の反応。
考えれば考えるほど、解決不能のように思えました。
しかし、私は自分に改めて問い直しました。
「この研修の目的は何だったか?」
「社長を立てることが、今の最優先か?」
「私は何を優先すべきか?」
答えは明確でした。
私が目指すゴールは、受講者の皆さんに実り多い時間を過ごしていただき、
クライアント企業様の目的達成を全力でサポートすること。
そのためには、“社長に忖度する”ことよりも、“場の機能を取り戻す”ことが、大切です。
私は、お客様側の人事管掌役員様に声をかけました。
そのときが初めての会話だったにもかかわらず、自然に言葉が出てきたのは、
「自分が守りたいもの」がはっきりしていたからだと思います。
提案したのは、「社長が自ら気づく」構造設計を手伝っていただきたいということ。
指摘や否定ではなく、役員(お客様)という第三者の声を借りて、
柔らかな言葉で間接的に届くようなフィードバックをお願いしました。
たとえば──
「こんな意見もあったようで、私自身ひらめいたんですが…」
「受講者の反応を踏まえると、こういった可能性もあるかもしれませんね」など。
役員様は全面的に協力してくださり、
結果として、社長は「自分で気づいた」と受け止めて、適切な方向へ舵を切ってくれました。
その後、研修の場は一変しました。
参加者の表情が変わり、前向きな声が多く寄せられました。
さらに、人事ご担当者も「指摘を私個人に丸投げしていた自分たちの課題」に気づき、
「今後はこうしよう」と動きが起こり、継続的な関係構築につながりました。
この出来事を通じて改めて感じたのは、
リーダーシップとは“役職”でも“立ち位置”でもなく、
「何のために」「誰のために」動くかを自ら定め、迷いなく行動できるかどうか
なのだということです。
そしてもう一つ。
一人で抱え込むのではなく、必要な人を信じて巻き込むこと。
その一歩が、場を動かし、組織を前へ進める原動力になると実感しました。
今後も私は、「何のためにこの行動を取るのか」という軸を見失わずに、
どんな場面でも、自分の持ち場から最善のアクションを取り続けていきたいと思います。
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